浜松商(静岡)の望月勇哉内野手(3年)は、甲子園の切符を手にし、「県NO・1ショート」の座を狙う。身長158センチと小柄だが、身のこなしは軽やかで、グラブさばきも柔らかい。1950年(昭25)、同校で初の甲子園出場に貢献した祖父季次(すえじ)さん(享年65)に憧れて、入学を決意した望月。仲間たちと2年連続4強の壁を突破し、18年ぶりの夏の甲子園出場を目指す。

 望月は、攻守にそつがない「浜商野球」の体現者だ。堅実な守備に加え、小柄にして高校通算8本塁打のパンチ力もある。1年秋から正遊撃手で、昨秋には投手も経験した。「自分のことに集中しがちなのですが、投手の気持ちも分かり、周りへの声掛けも意識しています。県NO・1ショートを証明するためには優勝しかないです」。

 春季大会は小笠に4-6で、初戦敗退だった。その後、「同じことをしていても成長はなく、また負けるだけ」と変化を求めた。チームは、午前7時半に集合して清掃活動などをする。以前は、午前7時ごろから自主練習をしていたが、現在は、午前6時半には練習開始。ノックの本数も倍増し、200球だ。「春は力で負けた気はしないですが、実力だけでは勝ち上がることはできません」。

 祖父季次さんは50年、同校初の甲子園出場に貢献した。望月が生まれる前、65歳で他界したが、父雅博さん(51)から祖父の活躍ぶりを聞き、「浜商で甲子園出場」に憧れを抱くようになったという。雅博さんも季次さんのことを振り返って言った。「父は昔のことをあまり話しませんでしたが、1番右翼手で出場したので、浜商の甲子園初打席に立ったことを誇りに思っていました」。

 現在の浜松商は、夏に2年連続で4強入りも、甲子園からは長く遠ざかっている。夏の出場は計9回。望月は「甲子園は憧れの舞台。全員で出場権をつかみたい」と話した。1回目に貢献した祖父を誇りに、10回目の聖地を全身全霊で目指す。【大野祥一】

 ◆望月勇哉(もちづき・ゆうや)2000年(平12)9月17日、浜松市生まれ。小1から二俣少年野球クラブで競技を始める。清竜中時代は浜松シニアに所属。家族は両親、姉。158センチ、58キロ。血液型B。