今秋ドラフト1位候補の報徳学園(東兵庫)・小園海斗内野手(3年)が滝川二との4回戦で高校通算37号の決勝アーチを放った。阪神和田豊球団本部付テクニカルアドバイザー(TA=55)ら日米12球団のスカウトがネット裏で熱視線を注ぐ中で、走攻守3拍子そろったプレーを披露。同校の8強進出に大きく貢献した。

 優勝候補の一角・滝川二との緊張感あふれる接戦。ネット裏にはプロ関係者が集結した。そんな環境で、小園が本領を発揮した。同点で迎えた7回1死一塁。左腕田辺の甘く入った直球を見逃さない。強振すると、打球はバックスクリーン下に飛び込む決勝2ラン。スタンドがどよめいた。

 「センターにはちゃんとした球場で打ったことがなかった。自分でも驚いた。貴重なホームランになる。絶対に甲子園に行くという気持ちが伝わった」

 これまで経験したことのない手応えを得て、ダイヤモンドを1周した。

 この一戦に集中していた。秋季県大会2回戦で敗れた相手。甲子園をかけ、最初に迎えた壁だった。数日前から、全体練習の1時間前にグラウンドに出て、素振りやティー打撃で黙々とバットを振った。時折、下を向いて考え込む姿も見せた。大角健二監督(38)は「いつもの子供っぽい小園ではなかった。この試合にかけている感じだった。集中を切らさなかった」と精神面の成長を見た。

 5回には右前への打球で俊足を生かし単打を二塁打にした。9回には右膝に死球を受けたが、次打者で盗塁に成功。4点目のホームを踏んだ。遊撃では定位置よりも深く守り、守備範囲の広さを披露。走攻守にハイレベルなプレーで、8強進出に貢献した。「今日勝てたのはよかったが、試合は続く。甲子園に行けるようにがんばりたい」。2年春のセンバツ以来となる甲子園へ。夏の聖地は小園を待っている。【田口真一郎】