U18アジア選手権(3日開幕、宮崎)に出場する高校日本代表の金足農(秋田)吉田輝星投手(3年)が1日、全球トップギアの「侍スタイル」でアジアの強敵をねじ伏せることを誓った。3段階のギアを使い分けるクレバーな投球は武器の1つだが、球数制限が設けられる今大会は、最大でも105球。この夏1517球を投げた鉄腕には、ギア調整が必要な球数ではなく、各組の1、2位が進出するスーパーラウンドなど、勝負どころでの先発では、全力勝負でチームを勝利に導く。

甲子園の時より、スケールアップした吉田がベールを脱ぐ。最大でも1試合なら105球(上限に達しても、その打者との対戦までは可能)の球数制限が設定される今大会。「全球、トップギアでの投球は可能か」と聞かれ「105球くらいだったら、大丈夫だと思います」と断言した。夏の甲子園では3段階のギアを使い分けたが、勝利を求めた結果の姿。アクセル全開の「侍スタイル」で勝負する。

準備は整った。881球を投じた甲子園から、代表合流後は調整で疲労緩和を優先。永田裕治監督(54)や理学療法士と話し合いの中で調整した。「疲れた状態が普通だと。自分の感覚が少し狂った」状態だったが、今では「甲子園の時より感覚はいいです」と全快をアピール。10日ぶりの実戦だった8月31日の宮崎県高校選抜戦では最速149キロで1回を無失点に抑え、復活を証明。一夜明けたこの日の練習でも「状態は問題ないです」と話した。

自身に期待される役割も、「侍スタイル」の背景にありそうだ。過去の国際試合を見れば、準決勝でエース格を投入する起用が多く、13年のWBCは前田健太(ドジャース)、17年のWBCは菅野智之(巨人)が先発。起用法について、永田監督は「まだ決めてません。相手を見ながら」と話したが、吉田への期待は大きく、大事な一戦を託される可能性が高そうだ。

今大会でいえば、各組の上位2チームが進出するスーパーラウンドが決勝進出をかけた大事な一戦と位置付けられる。吉田は「韓国とか台湾とか、全力でいかないと抑えられないと思います」と警戒。韓国とは同組だが、台湾はスーパーラウンドで対戦する可能性の高い相手。甲子園では横浜、日大三など、強豪校に勝利した右腕が、全球全開の「侍スタイル」で劇的勝利を再現する。【久保賢吾】