U18アジア選手権が今日3日、宮崎で開幕する。高校日本代表の金足農(秋田)吉田輝星投手(3年)は2日、サンマリン宮崎で行われた2時間の公式練習でブルペンに入り、約30球を投げ込んだ。約半数を変化球に費やし、新型ツーシームの完成を急いだ。5日の韓国戦や各組の1、2位が進出するスーパーラウンドなど、勝負どころでの先発が有力。アジア制覇用に開発した新兵器を武器に、大一番のマウンドに立つ。

この男は一体、どこまで成長するのか。吉田は練習中、大阪桐蔭・柿木蓮投手(3年)と入念にツーシームの握りを確認。その後のブルペンでは直球と変化球の感触を確かめ、今大会用に編み出した新兵器を意欲的に投げ込んだ。

「調子は上がってきた。(新型ツーシームには)手応えはある。(柿木には)実際に捕ってもらって、どういう曲がりをしているのかを投手側から見てもらった」

吉田はカーブや2種類のスライダーをはじめ、8つの変化球を自在に操る。甲子園ではシンカー気味に沈む120キロ台のツーシームが猛威を振るった。今大会用に準備した新兵器は130キロ台まで球速を上げる分、曲がり幅が小さくなり、より直球に似た軌道からシュート気味に食い込む。「国際試合は小さく動く変化球の方が有効だと思う。まだ打者には投げていないけど、今よりも直球に近くて右打者にとっては嫌だと思う」と手応えを口にする。

各国の公式練習では、吉田の話題で持ちきりだった。だが、本人に浮かれる様子は全くなかった。「注目されるということは、研究されるということ。相手のデータ通りにいったと思わせといて、データ以上の球を投げないと」。注目を逆手に取って、自分の成長につなげるのが、吉田のすごさだ。「初めてやるアジアとの対戦。日本とパワーもスイングの軌道も違う。自分の対応力を磨くスタート地点。新しいレベルの入り口だと思う」。日本のエースは勝負どころでの先発が有力。日の丸を背負う吉田の成長が止まらない。【高橋洋平】