岩手県高野連は6日、来春の第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)21世紀枠同県推薦校に、千厩(せんまや)の選出を決定した。同校の推薦は初。同高野連の佐々木明志理事長(54)は「少なかった部員数から、地元の子が地元の高校をみんなで選んで育ち、ボランティア活動などもしながら部員増につなげて、安定した力を付けてきたこと。校内の小学校建設でグラウンドが使用できないハンディ克服などが評価された」と選考理由を説明した。明日8日の評議員会で最終承認を得る。

13年秋には部員が12人に減り、存続の危機だった。翌春、現エース右腕・千葉哲太(2年)の兄英太(19=現トヨタ自動車東日本)らが「地元の高校を強くしよう」と呼び掛け合って入学。16年夏には8強に進出した。2年前からはグラウンド内に近隣5校を統合する小学校建設のため、近隣の球場を貸与され使用。グラウンド練習日数が限定される中で、今秋の県大会でも準々決勝に進出。学校から球場までの清掃活動を定期的に行うなど、地域住民からの支持も得ている。

菊池康弘部長(52)は「正直、千厩でいいんですか? という感じですが、選んでいただけただけでも光栄なこと。生徒たちには、あらためて緊張感を持って活動させたいですし、先輩たちのおかげでもあることも伝えたい」と喜んだ。

一方で、最速157キロ右腕・佐々木朗希(2年)擁する大船渡のセンバツ出場は、現時点で消滅した。東北大会出場はならなかったが、県大会3位決定戦で専大北上に10-11の接戦を演じるなど、選出期待の声も多かった。同理事長は「県ベスト4に入って、良い投手がいますが、21世紀枠の条件から総合的な評価ということ。期待されているチームということも分かっていましたが」と説明。同枠の東北地区推薦校の発表は12月に行われ、来年1月25日の選考委員会で全国9地区の候補から3校が選ばれる。

◆センバツ21世紀枠 少数部員や自然災害などによる困難の克服、練習などの創意工夫、地域貢献など、野球の成績以外の要素を考慮し、出場機会を広げる目的に01年大会から導入された。秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校129校以上の都道府県はベスト32以上)など規定をクリアし、高校野球の模範的な活動をしている学校が選ばれている。東北では現在までに秋田修英(秋田)、酒田東(山形)が、来春センバツの県推薦校に選出されている。