新型コロナウイルス感染拡大により第92回選抜高校野球が史上初の中止となり、本来なら開幕日だった19日、一、三塁カメラマン席横につくられたセンバツ仕様の投球練習用マウンドが撤去された。

午前中の阪神の練習が終わると、「阪神園芸」と書かれた小さなショベルカーのようなものが登場。まずピッケルで投手板を掘り起こすと、ショベルカーが掘って、ならしていった。

昨シーズン後に1つあたり、半日をかけて作ったマウンドは、一冬を越えてしっかり固まって、球児たちの出番を待っていたが、日の目を見ることはなかった。以前は常設だったが、18年のシーズン中に、阪神から要望があり春、夏の高校野球の大会後に撤去するようになった。

この日、取り除いた土はファウルグラウンドにまいた。阪神園芸で甲子園施設部長を務める金沢健児さん(52)は「年によって取った土をグラウンドにまくか倉庫にいれるか違う。まいた後、なじむにも時間がかかる」と話した。

残念な思いを胸に秘め、撤去は完了。金沢さんは「夏は日程を見て(大会の)2、3日前につくることもあるが、今年は夏の大会前に五輪期間があるから」と、しっかり硬くなったブルペンマウンドで、夏の球児たちを迎えるつもりだ。