大投手に続け! 桐生第一(群馬)・蓼原慎仁投手(3年)は「自分も早く、ロシア人の血を持つプロ野球選手になりたい」と意気込んだ。

生まれは東京だが、5歳まで母ナタリアさん(42)の祖国ロシアの首都モスクワで暮らした。中1の冬、家族で北海道を旅行した時だ。父秀樹さん(53)が旭川のスタルヒン球場に連れて行ってくれた。雪をかぶった偉大な300勝投手の像を前に「ロシア人初のプロ野球選手だぞ」と教えてくれた。同じ「ヴィクトル」をミドルネームに持つ。自分も続く、と決意した。

食が細く、入寮時は69キロしかなかった。朝、晩は毎食、米600グラムを課し、苦手なキノコ類はスムージーで流し込んで80キロまで増やした。最速は昨秋の138キロから6キロアップした。練習試合が雨で中止となった28日はブルペン投球。浮き上がる球もあったが、低めに伸びる球は力強かった。1分あたりの直球の回転数は2300を記録。プロ並みだが「球速も制球も、まだまだです」と口元を引き締めた。出場するはずのセンバツに続き、夏も中止。県独自大会と甲子園交流試合に「最後のチャンス。スカウトの方にアピールしたい」と挑む。【古川真弥】