昨秋の東北大会準Vで、夏の県V2を狙う鶴岡東が25-0の5回コールドで鶴岡中央に完勝。第1シードで23日から始まる県大会出場を決めた。

「7番左翼」で公式戦初出場の折原登生(とうい)外野手(3年)が満塁弾を含む2打席連発6打点と大暴れ。新型コロナウイルスで練習自粛中に投手から野手転向に踏み切り、最後の夏に才能を開花させた。

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気持ちは高ぶっていた。折原は公式戦初打席の1回裏無死二、三塁こそ見逃し三振に終わったが、ベンチで仲間から「気にするな」と声をかけられ、落ち着きを取り戻した。同2死三塁、「力を抜いて来た球を打つだけ」と打者一巡後に立った2打席目に内角直球をフルスイング。会心の一打が左翼席場外に消えた。

高校通算5本目も公式戦では初本塁打。感触を問われても「緊張していたので、覚えていない」と無我夢中で放った一撃だったが、驚きはこれだけではなかった。2回1死満塁で迎えた第3打席。同じく内角直球を強くたたくと、人生初の満塁弾が左翼席に飛び込んだ。背番号7は「打てて気持ち良かった」と喜びをかみしめた。

県内有数の強豪校だけに、関東と関西を中心に有望選手が集まる。現3年生35人のうち22人が県外出身。県内の尾花沢市立玉野中出身の折原は今春まで投手で、ハイレベルなベンチ争いに食い込める立場ではなかった。持ち味の打撃を生かすため、コロナ禍で練習自粛期間中に打者転向を決意。初舞台で結果を残した。佐藤俊監督(48)は「初めて1ケタの背番号をもらって、初めてのスタメン出場で緊張もあったと思うが、期待に応えてくれた」とうれしそうに話した。

今大会は各試合ごとにメンバーが変更でき、この日は3年生17人がグラウンドに立った。中止となったセンバツ代替試合として、8月16日に日本航空石川と対戦する甲子園交流試合のメンバー争いも兼ねる。鈴木喬主将(3年)は「全員野球で勝てたことは良かった。次も初回から万全な状態で戦いたい」。一致団結で丁寧な野球を徹底し、今年も「ツルトウ」の夏にする。【相沢孔志】