市船橋が専大松戸に8回コールドで敗戦し、親子で臨んだ夏が終わった。2番捕手で出場した桜内俊太(3年)の父は桜内剛監督(52)。「父のもとで野球ができたことはこの先人生で必ず役に立つと思う。感謝の気持ち『ありがとう』を伝えたい」と目に涙をため、話した。

入学する前、父に「市船に行きたい」と伝えるも、最初は「来るな」と反対された。だが、中学の仲間が多く市船橋に進学することもあり「仲間と一緒に野球がしたい。父の指導のもとで野球がしたい」ともう1度熱意を伝え、説得した。

普通では試合には出られない。競争して勝たないと出場できない。そう覚悟して入学した。

6回表に7点を許し逆転された時、父に「お前が弱気になったらピッチャーが思いきって投げられないぞ」と声をかけられた。

その後タイムをとり「点を取られても俺らが取り返すから大丈夫。自信を持って強気で投げてこい」と投手の背中を押し、流れを変えようとした。だが、相手チームの勢いを止めることはできず、全12失点。「父と甲子園に行くこと」「父と千葉制覇すること」の目標は散ってしまった。

今大会8人もの投手をリードしてきた。入学当初と比べ、周りを見る能力が成長し、父からは「頼もしくなった」と言われるほどになった。

これからは大学へ進学し野球を続ける。この経験を次のステップで生かし、新たな場所で歩み始める。【三須佳夏】