<高校野球茨城大会:水城2ー1藤代◇22日◇準々決勝◇ノーブルホームスタジアム水戸

藤代(茨城)の橿渕勇太外野手(3年)と翔太外野手(3年)の双子の夏が終わった。試合後、号泣する兄勇太の肩を、弟翔太がそっと抱いた。「勇太は、昨秋、肩を痛めて苦しい思いをした。よく頑張った。褒めてあげたいです」と思いやった。

昨秋、県大会以来の翔太が1番左翼、勇太が2番右翼の先発出場も、2人のバットから快音は響かなかった。翔太は「勇太が後ろにいて安心しましたが、結果が出なくて…悔しいです」と声を振り絞った。

ヤクルト橿渕聡スカウトグループデスク(46)を父に持つ2人は、小1から野球を始めると、一番身近なライバルになった。冷静で野球一筋の兄と、いろいろなことに興味を持ち感情を表に出す弟。いつも2人で競うようにバットを振った。今大会、代打起用が多かった勇太は、帰宅後、試合のDVDを見て翔太の打席を分析しアドバイス。そんな仲むつまじい姿を見つめた母れいなさん(47)は「何かしてあげたいという気持ちが強かったんでしょう。そんな兄弟愛を見られて、うれしかったです」と成長を喜んだ。

父はこの日、スカウト活動のため愛知県へ出張中。「2人ともこれを糧として今後、何か達成できることがあるでしょう」とエールを送った。翔太は「2人ともまだ野球を続けるので、どこかで成長した姿を父に見せたいです」と力強く話した。【保坂淑子】