島田常総の1年目の夏が終わった。「やっぱり悔しいですね…」。島田監督は、泣き崩れる選手たちを前に涙をこらえた。

初回の失点が大きかった。先発の秋本璃空投手(3年)の立ち上がりを攻められ、失策も絡んで3点を先取された。鹿島学園・藪野の変化球を捉えきることができず、9回2死からの2得点がやっとだった。

監督に就任した20年7月26日から、ちょうど1年。指導の難しさを痛感した。昨秋は「元プロだから勝って当たり前」という周囲の目と闘い、眠れない日々を過ごした。センバツ出場を果たすも、2回戦敗退。春は選手の士気が上がらず「このままでいいのか」と何度もカツを入れた。

今に満足せず、上を目指す-。選手たちにはその力があると信じた。「僕が怒るのは、期待をしているから。でも、うるさいジジィと思われてないかな…」。自問自答もした。今大会も、ベンチで何度もげきを飛ばした。最後まで選手と向き合い、やる気を促した。そんな熱い思いにナインも応え、9回の2点につながった。「この粘りが常総野球。でも最後の1点を取れなかった。監督である自分の責任」と唇をかんだ。

新人監督の1年が終わった。「僕も成長させてもらいました。1年で伝えるのは難しい。それでも伝えなければいけないのが、指導者だと思いました」。島田常総は始まったばかり。悔しさを糧に、もっと強くなる。涙をのんだ21年7月26日は、リスタートの日になるはずだ。【保坂淑子】