旭川実のプロ注目右腕、田中楓基(3年)がプロ志望届を提出し6日、日本高野連のホームページに公示された。2年春からNPB複数球団の視察を受ける逸材で、今夏の北北海道大会旭川地区予選で最速を150キロに更新。「もし指名されたら12球団どこでも行く」と強い意志を口にした。今夏は北大会初戦敗退で甲子園には届かなかったが、新たなステージでの活躍を思い描いた。

    ◇    ◇    ◇

旭川実の田中が、決意を固めた。本州の複数の大学からの誘いもあったが、ぶれることはなかった。両親とも話し合い「プロに行けるチャンスがあるなら、チャレンジしてみようと思った。どこの球団がいいというのもない。指名されたら、12球団どこでも行く」と言い切った。

聖地には届かなかったが、しっかりアピールはできた。今夏、旭川地区初戦の旭川明成戦で、最速を150キロに更新。NPB8球団のスカウトが視察する前で、自慢の直球を披露した。北大会では初戦で帯広大谷に敗戦も「いろいろな方から連絡をいただき、多くの人に支えられていることを知った。もし上のレベルでやれるなら、頑張って、そういう人たちに恩返しがしたい」と思い描いた。

幼なじみの存在も刺激になっている。大阪桐蔭の最速150キロ左腕、松浦慶斗(3年)は旭川新富少年団で一緒にプレーした仲。自身は聖地に立てなかったが、テレビで松浦の投球を目に焼き付けた。実家が徒歩約10分の近距離にあり、甲子園の後に一時帰省した松浦が田中の自宅を訪れた。「大阪桐蔭」とプリントされたタオルをお土産にもらった田中は「貴重なもの。驚いた」。松浦もプロ志望を明言しており「今度こそ同じ舞台で競えたら」とプロでの対戦を目標に掲げた。

昨冬は、当時大学生だった日本ハム伊藤大海投手が配信していた動画をチェックし、スライダーの投げ方などを学んだ。現在は後輩たち相手の紅白戦に登板しながら、バランスが崩れてきた際に当時の伊藤の動画を振り返り、フォームなどを再確認している。1年目からエース級の活躍をする同じ道産子投手に、田中は「結果を出せる選手は、しっかり考えているんだなと感じた」。11日のドラフトまで約1カ月。日々、頭を使いながら自身を磨き、運命の日に備える。【永野高輔】

◆田中楓基(たなか・ふうき)2003年(平15)8月23日、旭川市生まれ。旭川新富小1年から野球を始め、旭川明星中時代は軟式野球部に所属。旭川実では1年春に背番号1で初めてベンチ入り。昨秋の全道大会で準優勝。変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップ。目標の選手は楽天涌井。座右の銘は「謙虚」。家族は両親と兄、弟。50メートル走6秒3。遠投100メートル。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。