野球の申し子が、運命の“誕生日ドラフト”で、プライスレスなプレゼントを受け取った。ノースアジア大明桜(秋田)の最速157キロ右腕、風間球打(きゅうた)投手(3年)は、憧れの球団だったソフトバンクが、一本釣りで交渉権を獲得した。

地元山梨を離れ、秋田で研さんを積み2年半。「高校BIG3」に成長した剛腕は「日本を背負えるような投手になりたい」。チームメートになる千賀級の大エースを目指す。

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相思相愛だ。風間は18歳初日に望んだ「ドラフト1位」のプレゼントを、憧れのソフトバンクから贈られた。「緊張の誕生日でしたが、最高のプレゼントをもらえて感謝してます」。輿石重弘監督(58)とともに、会見場のモニター越しに会議の行方を見つめた。午後5時16分、ソフトバンクの1位指名で「風間球打」とアナウンス。表情は変わらなかったが、その2分後に指名が確定し、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

山梨時代の誕生日はゲームを買ってもらうのが最高の喜びだった。今年は自ら「1位がほしい」と求め、球団から「1位でほしい」と求められる不思議な日。「誕生日がドラフトという大事な日で、奇跡というか運命に感じています。この日を忘れずやっていきたいです」。球界を代表する投手への1歩をかみしめた。

サプライズ演出もあった。実家の母今日子さんがオンラインで「誕生日おめでとう。1位指名おめでとう」と祝福の言葉を送り、「みんなに愛される選手になってほしいです」と願った。風間は4人兄弟の三男。長男球道(きゅうどう)さん、次男球星(きゅうせい)さん、四男球志良(きゅうしろう)さんと全員に「球」の一字がつく。試合用帽子に「みんなの力を借りて投げたい」と兄弟の名前を記すほど家族愛は強い。

ソフトバンク柳田がヒーローだった。「フルスイングが魅力的で、面白いので好きです」。さらに理想の投手像は千賀だという。「何回も日本一に貢献していて、球速も速いし、切れのいい変化球もある。球速面や変化球を聞きたいです」と早くも弟子入りを志願。1年目はプロ仕様の体をつくり、最速160キロを目指して1軍入りへ近づく。

「1位指名を見ても、みんなすごい人ばかり。1位指名で選ばれた中でも、一番活躍できるように頑張りたいです」

「ギータ」や千賀に続くスターへ-。無敵の若鷹「キュータ」が、福岡で大きく羽ばたく。【山田愛斗】