今春センバツで奮闘した鳴門(徳島)のエース冨田遼弥投手(3年)が「64キロ差」の緩急で鮮やかな完封勝ちを演じた。序盤からテンポ良く、落差のあるスライダーで続々と空を切らせた。7回2死三塁では低めスライダーで遊ゴロ。スキを見せなかった。

「最初はテンポよく投げられた。終盤は長打で走者を背負っても点を与えなかったのはよかった」

2回に80キロのスローボールで空振りを奪い、4回は自己最速を2キロ更新の144キロを計測。実に「64キロ差」の緩急がさえた。終盤まで球威は衰えず、センバツ出場校の高知を相手に9回112球4安打無失点で、10奪三振。大黒柱の役割を果たした。

3月のセンバツ初戦で大阪桐蔭と戦い、8回8安打8奪三振で3失点だった。3回に2点先制されたが、その後は技量が光り、最少失点にまとめた。「内の直球とスライダーで投げ分けができたら、大阪桐蔭でも三振を取れていた。そこはこれからの自分のいいところ」と手応えを深めた。

大阪桐蔭は4試合で51得点の強力打線を誇り、圧倒的な力で優勝。3試合連続2桁得点が際立つだけに3失点完投した冨田の力量が再評価されていた。センバツ敗退後、勝ち進む大阪桐蔭の試合もチェックしていたという。他校の大敗が続き「自信にはなった。記事を見たら初戦だからとか書かれていた。良かった部分もあるし、相手が打ち損じしていた部分もあります。振り返りはしっかりしました」と話した。外角低めの変化球の精度アップなど、強敵と対戦して気づいた点も多い。この春、全国でキラリと光った左腕は、夏に向けて、進化を図る。