日本文理の3番、田中晴也(3年)が放った豪快な2発が“空砲”になった。最速148キロのプロ注目エースは、決勝は中堅手でスタメン出場。専念した打撃で、2打席連続本塁打を放ったが勝利にはつながらなかった。「バッティングで貢献したいという思いを込めた」という打撃は、5打数3安打。チーム7得点のうち、6打点を稼ぐ猛打で存在感を放った。

0-0で迎えた4回。この回先頭で右翼ポール直撃のソロ本塁打を放った。「塁に出ることを考えていた」も、打球は伸びた。1-0で迎えた5回1死満塁では初球をフルスイング。打球は一気に右翼場外に消えていった。「(先発の)村越(仁士克投手)を援護したかった」と背番号10番を気遣う心をバットに乗せた。鈴木崇監督(41)が「精神的支柱」と評する田中は打撃でチームを支えた。

しかし逆転での1点差負けで、3年ぶりの春制覇を逃した。田中は「ひとつのミス。ひとつのプレーで勝ち負けが決まる」と話した。残しているのは3年最後の夏。「何が足りないのか。どこを伸ばせばいいのか。ミーティングしたい」。田中の夏への奮闘は決勝敗退の瞬間から始まった。【涌井幹雄】