<高校野球岩手大会:盛岡中央15-0江南義塾盛岡>◇12日◇1回戦◇花巻球場

盛岡中央のプロ注目右腕、斎藤響介投手(3年)が今大会初戦で自己最速を1キロ更新し、大台の150キロをマークした。江南義塾盛岡戦で3回を完全投球。打者9人に対し8奪三振で、145キロ以上は全33球中21球だった。圧倒する内容でチームの5回コールド勝利へ流れを作った。ブルージェイズ菊池、エンゼルス大谷、ロッテ佐々木朗ら怪物を輩出してきた岩手。まだ素材型だが、成長曲線を描いていく。

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斎藤が大台に到達した。3回2死走者なし。カウント2-2からの5球目、相手9番を渾身(こんしん)の直球で空を切らせた。2回から5者連続三振目。「少し浮いたところもあったが、指に引っかかっていいボールがいった」。ベンチ、スタンドがどよめく。ベンチに引き揚げようとする斎藤は後ろを振り返り、スコアボードに表示された「150キロ」を確認。笑みを浮かべて仲間とハイタッチを交わした。

この日までの最速149キロは昨夏、同じ花巻球場で計測した。「春から150を出そうと頑張ってきた。夏の舞台で150を出せて良かった」。初回から快調に飛ばし、わずか10球で3者連続三振。2回は先頭が一ゴロもその後は5連続三振で打者9人に8K。奥玉真大監督(47)は「コンディションさえ整えば150キロが出るだろうと思っていた」と驚かなかった。

今春はコロナ禍でチーム活動が一時休止するなど投げ込み不足で、斎藤の直球は140キロ台前半がほとんどだった。県大会初戦は8回を9安打6四球で9失点(自責4)と精彩を欠いて敗戦。「自分のせいで負けた」と涙を流したが、今大会に向けて下半身強化に注力し、好投につなげた。

子どもの頃は夢も目標もなかった。「学校で『書け』と言われたときは適当にプロ野球選手と書いていた」が、今は違う。OBの楽天銀次のように盛岡中央からプロになるという夢ができた。「2回戦も三振をどんどん取って、自信のあるストレートで押していきたい」。さらなる高みを目指す岩手NO・1投手が力強く発進した。【山田愛斗】