昨夏甲子園ベスト4の京都国際は、今秋ドラフト候補の森下瑠大投手(3年)が打撃で大暴れし、4強進出だ。1回2死二塁。スライダーを捉えると、滞空時間の長い弧を描き、先制2ランが右翼席に達した。

7回も中前に2点打を放つなど4安打4打点。「ちょっと出来過ぎ」と笑顔だった。小牧憲継監督(39)も「森下は、いい投手にめっぽう強い。1人だけ別次元。柔らかさもある」と舌を巻いた。普段、打撃練習は30分程度だが、野球センスの高さを見せつけた。

「二刀流」に悩みを深めるのがプロのスカウトだ。この日は、7球団12人が集結。春先の左肘炎症の影響で5月以降、実戦で投げていない。多くの球団は最速143キロの左腕投手として評価するが、この日も登板せず肩すかし。「投げるのを見ないことには…」と声をそろえる中、高校通算20本塁打の打力を示した。ヤクルト橿渕スカウトグループデスクは「今日で考えないと。こんなスゴイ打撃をするんだと正直、思った。変化球でも軸が崩れない」と言う。評価ポイントが増える可能性も出てきた。

投手の森下は約1週間前からシート打撃登板を再開した。「マックスに近い。95%くらい。いい状態」と全快を強調する。残り2戦の全力プレーで、京都の頂に挑む。【酒井俊作】

▽京都国際・森田(9回4失点で2戦連続完投) 打線が援護してくれて助かった。試合中に森下も声を掛けてくれる。『先頭をしっかり打ち取っていけよ』と言われた。