ノーシードの樹徳が30年ぶり3度目の夏の甲子園出場を決めた。初回から打線がつながり、舘野優真外野手(3年)、森颯良(そら)内野手(2年)の連続適時打など4安打で一挙5点を先制した。投げてはエース亀井颯玖(りゅうく)投手(3年)が14安打を浴びるも4失点に抑えて完投し、強豪・高崎健康福祉大高崎を6-4で破った。

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9回、最後の打者を遊ゴロに打ち取ると、樹徳ナインがマウンド上で歓喜の輪をつくった。強豪を次々に撃破し、30年ぶり頂点に立った。井達誠監督(47)は「負けたら仕方ないという気持ちだった。自分が選手だったときよりも、良い成績を残せるよう頑張ります」と男泣きした。

30年前の1992年(平4)夏に、主将として甲子園初勝利を挙げた。だが、2回戦は2-3で天理に敗退した。今夏、監督として初めて臨む舞台で、2勝以上を目指す。

初回、先頭の林日陽内野手(3年)が右前安打で出塁すると、その後も安打や死球で打線がつながり、1死満塁で舘野優真外野手(3年)が中前へ先制適時打を放った。「ベンチが喜んでいたのが見えてめっちゃうれしかった」と笑顔。なおも満塁で、森颯良(そら)内野手(2年)が外角直球を右中間へ運ぶ3点適時三塁打を放ち一気に流れを引き寄せた。「チームの力になれて良かった」と振り返った。

「エイエイオー!」。攻撃前、毎回輪になって声を合わせる。2回戦の前橋商戦。0-0で迎えた9回にムードメーカー阿部匠真(3年)が「何かやってみよう」と発案し、その回3得点を奪い勝利をものにした。阿久津佑太主将(3年)は「ゲン担ぎみたいにやってます」と笑った。

準々決勝は昨夏の覇者、前橋育英に6-0、準決勝は昨秋の覇者、桐生第一に10-7、そして決勝は、昨春センバツ出場の健大高崎を破った。

ノーシードから頂点へけん引したエース亀井は「楽しく、笑ってプレーしたい」と笑顔で語った。【星夏穂】

◆樹徳 1914年(大3)創設の私立校。野球部は1969年(昭44)創部。生徒数は1002人(うち女子435人)。部員数は73人。甲子園出場は夏3度目。井達誠監督(47)はOBで91年と92年、夏の甲子園に選手として出場。主なOBは、元ロッテの戸部浩、元日本ハムの菊地和正ら。桐生市錦町1の1の20。野口秀樹校長。