市船橋が15年ぶり6回目の優勝だ!壮絶な打撃戦に1歩も引かず、19安打13得点で制した。

投げてはエース森本哲星投手(3年)が粘り強い投球で完投勝利。昨秋、木更津総合に敗戦した悔しさを糧に成長したチームがリベンジを果たし、大きな自信を手に聖地に乗り込む。

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森本哲星が最後の打者を遊飛に打ち取ると帽子を青空に向かい大きく投げた。あっという間に歓喜の輪が広がり喜びを爆発させた。

右翼席から「市船soul」が流れると、ZOZOマリンスタジアムの風が勝利の風に変わった。1-2で迎えた4回2死一、二塁から大野七樹内野手(1年)の中前適時打で同点。なお一、二塁から谷藤汰樹内野手(3年)の右前適時打で逆転に成功した。6回には、3連打で3点を奪い、木更津総合の先発の越井颯一郎投手(3年)をノックアウト。8回には森本哲星の左越え2点適時打を含む4安打で、この回4点。9回には双子の兄・森本哲太外野手(3年)が中越え本塁打も飛び出し、19安打の先発全員安打で木更津総合を突き放した。

昨秋県大会、準々決勝で木更津総合と対戦。延長10回を戦い5-7で敗戦した。この日から、チームの目標は「木更津総合に勝って甲子園に出場する」。監督、部長に5人のコーチ。OBで元巨人伏島良平、元オリックス山崎正貴も加わり、各部門に分かれデータを分析。それぞれに合った練習メニュー、アプローチの仕方まで、組織野球で指導。主将の宮栄太朗内野手(3年)は「1人1人細かく指導してくれる。それを皆が信じて取り組めた」と手応えをつかんだ。

宮の涙がチームを変えた。今春、県を制覇するも、関東大会では初戦敗退。全国の厳しさを痛感した宮は「レギュラーじゃない自分が主将では勝てないかもしれない」と海上雄大監督(40)に涙ながらに話した。その涙を見た片野優羽捕手(3年)が「僕にゲームキャプテンをやらせてください」と手を挙げた。「宮、俺も手伝うよ」次々と選手たちが宮の周りに集まり心をひとつにした。

海上監督は「歴代の監督さんが作ってくれた基礎があってこのチームがある。千葉県の代表として恥じない戦いを全国でしてきたい」と力を込めた。甲子園でも「市船soul」に乗せ、イチフナ旋風を巻き起こす。【保坂淑子】

◆市船橋 1956年(昭31)創立の市立校。野球部も同年創部。生徒数は1191人(女子548人)。部員102人。甲子園出場は春2度、夏6度目。海上雄大監督(40)は、同校のOBで、2年夏の甲子園に外野手として出場。主なOBに中日小笠原孝2軍投手コーチ、元巨人林昌範、中日岩崎翔ら。所在地は千葉県船橋市市場4の5の1。津田亘彦校長。