九州学院(熊本)が国学院栃木を破り、12年ぶりで過去最高に並ぶ8強に進出した。

初回にヤクルト村上宗隆の弟・4番慶太内野手(3年)が中前に先制&決勝の適時打。投げては2年生エースの右腕、直江新投手が4安打で完封した。

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4番が勝負を決めた。九州学院の主砲、村上慶が1回に決勝の中前打。2死二塁で外角直球をコンパクトにたたいた。これが甲子園初打点で、チームのベスト8進出に貢献。「本当にうれしいです。4番を打たせてもらってるので、チャンスで回ってくる。しっかりチャンスで打てるようにという意識は持ってます」。兄宗隆はヤクルトで2年連続の100打点に到達。兄ゆずりの勝負強さを、初回の第1打席から発揮した。

昨秋の熊本県大会後、主将の園村とともに「ダブルキャプテン」に任命された。グラウンド外では園村がまとめ、練習では村上慶が声で引っ張る。園村によると、過去に主将の2人体制は「自分が聞く中ではない」。効果はてきめんで「チームの雰囲気も引き締まってます。村上はグラウンドで熱い。最初に会った時から声も出していて、今も変わらない」。陽気な性格で、チームを支えている。

兄宗隆を含む3人兄弟の末っ子で、私生活では高校生らしさも見せる。宿舎は1人部屋。寂しさのあまり、この日完封劇を演じた2年生直江を自室に呼んでいる。直江は「ずっと1人でいるのが嫌みたいに言ってました。野球になったらしっかり声をかけてくれて、頼りになる。日常生活ではちょっと頼りないですね」と苦笑い。グラウンド内外でのギャップが、村上慶の魅力の1つだ。

初の4強を懸けて、準々決勝の相手は聖光学院(福島)に決まった。村上慶は「次の試合もしっかり打点を挙げて、チームに貢献できるバッティングを」と頼もしかった。【只松憲】