第104回全国高校野球選手権大会(甲子園)の準々決勝が18日、行われる。仙台育英(宮城)は、準優勝した15年以来7年ぶりの準決勝進出を目指し、愛工大名電(愛知)と第1試合で激突。聖光学院(福島)は初の4強入りをかけ、九州学院(熊本)と第4試合で対戦。東北勢アベック4強となれば、13年の花巻東(岩手)、日大山形以来9年ぶりの快挙だ。仙台育英・須江航監督(39)と愛工大名電・倉野光生監督(63)が16日、オンラインで監督対談に臨み、両校の印象や勝負のポイントなどを語った。

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-これまでの自チームの勝ち上がりを振り返り

須江監督 元々打てるチームではないので守備と走塁を大事にしてきたのですが、(鳥取商との)初戦は走塁が消極的で軽率な守備のエラーも出ました。2戦目(明秀学園日立との3回戦)は修正でき、元々積み重ねてきたものが出て良かったと思います。

倉野監督 3試合戦い、打線が私の期待以上に点を取ることができました。有馬(伽久、3年)を中心にピッチャーも尻上がりに良くなってきたと思います。

-対戦校の印象は

須江監督 投手陣は有馬くん中心に力があります。打線はアラがないです。あとは足が抜群に早いとか、非常にバランスの良い、付け入る隙がとても少ないチームだと思います。

倉野監督 力のある投手陣、どの投手も速球、変化球ともにスピードがあります。体力があるピッチャーばかりですので、打つのが大変、脅威と感じます。

-勝負の鍵や自チームのキーマンは

須江監督 後半勝負以外は勝機がないと思うので、何とか粘って1点差、2点差くらいで後半3回くらいに入れたらと思います。うちは粘るしかないので投手中心に守ることですね。

倉野監督 打って点を取るのは非常に厳しいと思います。どれだけ失点を防いで守りあいにゲームをもっていくか。キーマンはピッチャー。有馬、岩瀬(法樹)、山田(空暉、いずれも3年)が後半勝負でどこまで粘って投げるか。大量失点してしまうとダメなので。

-4強入りがかかる一戦に向けて

須江監督 無欲で目の前の一戦だけに集中して勝ち上がってきたチームなので、1試合1試合、1イニング、1球1球大切にやりたいと思います。

倉野監督 目の前の1試合に勝ったら次が見えてくる。山登りでいくとベスト8は五合目なので、まだ半分。次の試合に全力を尽くすというだけでやっていきます。

○…仙台育英は大会初の休養日となった17日、準々決勝に向け調整した。前回の大会から3回戦第2日と準々決勝の間に休養日が設定されたが、昨年は雨天順延の影響で試合が行われ、休養日とはならなかった。須江監督は「猛暑の中での大会なので、休養日があるというのは選手の疲労感が全く違う。体調を崩さず、当日に足がつったりする可能性も軽減できる。休養日の設定は今後も続けていただきたいと思います」と語った。

○…仙台育英・佐藤悠斗主将(3年)が準々決勝に気を引き締めた。15日の3回戦は明秀学園日立(茨城)に先制を許したが、終盤に逆転。1点差の試合を制し、3年ぶりの8強入りを決めた。「自分たちも成長できましたし、次の試合につなげられる」と振り返った。7年ぶりの4強がかかる一戦。「自分たちのテーマは守り勝つ。丁寧な守備で、劣勢な展開でも最少失点に抑え、最終的に勝てれば」と意気込んだ。

○…愛工大名電は仙台育英戦を前に、社会人野球チームの室内練習場でノックや打撃など約2時間半の練習で汗を流した。最速147キロのエース左腕、有馬伽久(がく)投手(3年)は「甲子園に慣れ、いつものペースで生活と試合ができている。雰囲気はすごく良い」と充実の表情。倉野光生監督(63)は工藤公康ら4人がプロ入りした前回4強の41年前と比較し「今年はプロに行ってうんぬんの選手はいない。その意味で一丸になってやる気持ちは非常に強い」と引き締めた。