来春の第95回記念選抜野球大会(3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠の地区候補9校が9日、発表された。四国地区からは徳島の進学校、城東が3年ぶりに選出された。来年1月27日に最終3校が発表される。

今秋の県大会4強に入った城東を支えるのは、たった1人の女性マネジャーだ。永野悠菜さん(2年)は中学までは管楽器ファゴットを吹いていた音楽好き。運動部の経験はなく、体を動かすのも「苦手です」。だが幼稚園からの幼なじみである森本凱斗主将(2年)の誘いで、入学時に野球部マネジャーになった。

当初マネジャーは3人いたが、学業専念のため部を離れ、今年からは1人に。普段、選手がノッカーを務めることもあったが、部員はわずか12人。「私しかいないな…」。選手に練習に専念してもらうために、今年の春、思い切ってノックバットを握った。

ボールの上げ方も分からず空振りばかりだったが、朝6時から1時間の自主トレで手にマメを作りながら、少しずつ成長。この日も、2人を相手に外野ノックを打った。他部と共用の狭いグラウンド。わずかなスペースに打球を打つのは簡単ではない。

「去年まではそこまで野球に熱を入れてなかったんですが、1人になって毎日練習に来ているうちに野球に向き合い始めました。ノックをするようになって選手の気持ちを考えるようになった。以前は甲子園は『場所くらいは知っている』くらいの興味でしたが、今は自分がベンチに座っている姿を想像しながら毎日過ごしています」。

難関大学を目指して週2回、練習後に塾に通う。塾の終わりは午後10時近く。早朝の自主トレ、朝練に始まり、毎日の7時間授業、部活、そして学習塾と目の回るような毎日。「めちゃくちゃ眠いです」と笑うが、城東に欠かせない13人目の戦力だ。