第95回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)に出場する東北(宮城)が3日、合宿先の静岡・沼津市内で午前、午後の2部練習を行った。学校での練習と同様に大音量のBGMを流し、投内連係や打撃練習などに励んだ。2日に現地入りし、対外試合が解禁される4日に知徳(静岡)、5日に静岡市立と対戦する。佐藤洋監督(60)は今合宿の狙いを「ずっとグラウンドが使えない状況が続いていたので、感覚を呼び戻すぐらいでいいんじゃないですかね」と話す。

対外試合解禁とともに連日実戦を重ねる学校は多いが、東北は違う。沼津滞在の1週間で実施するのは2試合だけ。ダブルヘッダーも行わない。「どこもかしこも『試合、試合、試合で実戦感覚』と言うんですけど、『そんなにやらなくてもいいのでは』と思うんですよね。もしかしたら大人が不安なのかもしれません。高校野球の常識をいつも疑っているので」と説明。日々の練習を大切にしてレベルアップを図る。

センバツ開幕まで2週間となった。「うちは勝ち負けは一切関係ありません。とにかく楽しんで、それを皆さんに見てもらって、皆さんがどう感じるか。そこです」と佐藤監督。野球の未来にも目を向ける。「野球を選択しない子どもたちに少しでも楽しさが伝わって、野球人口が増えなくても、減少するのを少しでも食い止められればと思います」。12年ぶり20度目となる春の聖地で、東北ナインは「エンジョイベースボール」を貫く。【山田愛斗】