春季高校野球の静岡県地区予選が、21日の東部を皮切りに中、西部も25日に開幕(未定の試合時間、会場などは大会直前に決定)を迎える。各ブロックの勝者8校に敗者復活戦を勝ち抜いた4校を合わせた各地区12校と、今春センバツ出場の常葉大菊川の計37校が県大会(4月22日開幕)に進出する。中部では静岡高が27日の初戦で静岡西と対戦。エース候補の斎藤童獅投手(3年)が、公式戦復帰登板へ闘志を燃やしている。

地区予選開幕を前に、斎藤の言葉に力がこもった。「この大会に合わせてリハビリをしてきた。自分にとっては、野球ができること自体が大きい。思い切って今の全力を出したい」。

昨年5月22日の練習中に右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。長期離脱を余儀なくされ、夏の選手権静岡大会、続く秋季大会もスタンドから敗戦を見届けた。「先輩たちにも迷惑をかけてしまい、本当に悔しかった…」と唇をかむ。

今年1月の復帰まで約7カ月間に及んだリハビリ期間中は、上半身を中心に強化。食事改善にも取り組み、体重は約10キロ増加した。今月5日に行った愛知・大成との練習試合では、自己最速の140キロをマーク。「順調にきていると思う」と一定の手応えを得た。

初戦は静岡西と対戦。現在も患部にはテーピングが巻かれ、登板のタイミングは流動的だ。それでも斎藤は「自分の現在地を知るためにも、どんな場面でも精いっぱい投げたい。結果にもこだわって、夏へ自信になるような大会にしたい」。夏の甲子園を見据え、この春、完全復活への1歩をしるす。【前田和哉】