いい4チームが勝ち上がった。昨秋の明治神宮大会優勝の大阪桐蔭と、準優勝の広陵。山梨学院は昨秋関東王者で、報徳学園は近畿2位校。その両校が、センバツで再戦を果たす。

大阪桐蔭は、打つ方が少し心配だった。ここまで3試合で総得点が10点。3回戦の能代松陽戦は、好投手の森岡君からスクイズで決勝点をもぎ取った。ただ甲子園で勝ち上がるには、こういう苦戦が必ずある。そんな試合に勝って、東海大菅生に快勝。佐藤君のホームランもチームを力づけた。エースの前田君は球に切れがあり、チェンジアップなど変化球もいい。顔つきが鋭くなり、相手を圧倒する雰囲気を作っている。

対する報徳学園はしぶとい。準々決勝を戦った仙台育英は昨夏の甲子園優勝校。その相手に対し、本当によく守った。タイブレークを制した攻守両面で、伝統の粘り強さが見られた。報徳学園は大阪桐蔭・西谷監督の母校でもあり、こういう因縁も見どころになる。

山梨学院はスキがなく、打撃もあか抜けした好チーム。一方の広陵は主軸の真鍋君に当たりが戻ったし、捕手の只石君の好リードで投手陣も生かされている。準決勝2試合は熱い試合になると予想する。

慶応と仙台育英は熱戦だった。10回の絶好機で慶応・清原選手は三振に倒れた。お父さんの清原はPL学園3年のセンバツで、伊野商の渡辺投手に3三振。悔しさを胸に努力する姿を見た。お父さんが最後の夏に「甲子園は清原のためにあるのか」と言われた活躍を見せたように、三振の悔しさを力にしてほしい。

甲子園は時代を超えてつながり、歴史になる。私自身も今春、沖縄尚学とクラークの試合を解説しながら、PL学園2年の63年センバツを思い出した。初戦は沖縄の首里に勝ち、次戦は北海に負けた。今は沖縄からも北海道からも優勝校が生まれている。球史を思いながら、準決勝を楽しみたい。(PL学園元監督)