仙台育英(宮城)が延長タイブレークの接戦に敗れ、2年ぶりの8強進出を逃した。3-3の11回表に2失点。その裏は無得点に終わった。エース左腕の吉川陽大投手(3年)が10回まで3失点10奪三振と踏ん張ったが、11回に力尽きた。

   ◇   ◇   ◇

3-5の延長11回2死三塁。9番吉川陽大投手(3年)に、代打は送られなかった。打席に入ったエースの目には、すでに涙があった。「打力に自信のない自分を送り出してくれた須江先生(監督)への感謝と、仲間の顔が浮かんで…」。マウンドには、投げ合った沖縄尚学のエース末吉がいた。フルカウントから強い当たりを打つも二塁手が捕球し、素早く一塁へ。一塁手が喜ぶ姿が目に映った。それでも頭から飛び込んだ。立ち上がれなかった。

試合後のベンチ前、女房役の川尻結大捕手(3年)と最後のキャッチボールを行った。このままずっと、川尻に投げ続けていたかった。泣きじゃくりながらクールダウンを終えると、近づいてきた川尻から頭をなでられ、声をかけられた。「お前がいたからここまでこられた。お前は泣くべきじゃない」。

2人でたどり着いた景色だった。今春、けがでプレーができなかった川尻は、練習試合の球審を買って出た。「甲子園の景色を見るために、一瞬も無駄にしたくない」。球は受けられないが、一番近くで見ていたかった。そして、吉川を日本一の投手に-。川尻はこの日3安打3打点。だが、夢破れた。「またいつかバッテリーを組みたいです」。2人が甲子園で交わした344球。その1球1球の感触を、忘れることはないだろう。【木村有優】

▽吉川陽大投手(3年) 仲間をこのピッチングで勝たせたいという思いがあって。これまで自分のピッチングで迷惑をかけてきて、最後は自分が耐えて、粘って投げようと思っていたんですけど、自分がふがいないせいで負けてしまいました。

▽川尻結大(ゆいと)捕手(3年) しっかりみんながつないでくれた結果で、自分の1本で点数が入りましたけど、みんなのおかげの点数だったので。自分がというより、チームで取った点数です。