2022年に開校した通信制のわせがく夢育(埼玉)。野球部は今年4月に創部されたばかりだ。部員10人のうち1年生が9人。創部からわずか3カ月で迎える初めての夏に挑む。
チームを率いるのは若き指揮官、土士田涼生監督(29)だ。大学卒業後に教員となり、野球部創設の構想を温めてきた。「在校生や卒業生、地域の方々が一体となって応援できるものをつくりたい。その象徴として高校野球があると思いました」。
創部までの道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。選手も実績もない状態からスタートし、地域を回って学校の存在をアピール。そのかいあり、現在の10人が同校の門をたたいた。
選手たちにも共通した思いがある。「ゼロからチームをつくっていく中で、自分たちの力で甲子園に出たい」。そんな思いに引かれた選手たちが集まり、歴史のないチームの第一歩を踏み出した。
通信制ならではの環境も特徴だ。選手たちは週2日の登校コースに所属し、学校へ通うのは火曜日と金曜日のみ。それ以外の時間を野球に充てることができる。平日は午前9時30分から午後4時15分まで練習。バッティングマシンを活用しながら1人500球近く打ち込む日もあるという。
チームの主将を務める飯田治希捕手(1年)は、監督について「やっていることが最先端。知らないこともたくさんあるけど、分かるまで教えてくれるし、選手のことをよく見てくれる」と信頼を寄せる。
春には公式戦初勝利も挙げた。小さな一歩ではあるが、創部したばかりのチームにとって大きな自信となった。「どこにも負けるつもりはありません」と監督は力強く言う。「1年生ばかりのチームだから無理だと思われるかもしれません。でも、この暑い中、朝から晩までバットを振ってきました。まずは夏に勝って、うちの環境で野球をやりたいと思っている子どもたちに結果で証明したい」。
創部1年目。前例のない挑戦を続ける10人が、記念すべき最初の夏へ踏み出す。【会田京叶】

