<高校野球新潟大会:新発田農4-3長岡商>◇17日◇3回戦◇三條機械スタジアム

 「最後まで投げられるとは思わなかった」。長岡商・山岸直人投手(3年)は大会前まで右脇腹を痛めていた。試合で投げられる手応えをつかんだのは、11日の開幕式前日の練習試合。それまでは「ずっと継投のつもりだった」と痛みをこらえていた。

 初戦同様、この日もテーピングを巻いてマウンドにあがった。右下手投げの生命線である高めの直球が通用しない。得意のスライダーも、打席の投手寄りに立たれ球が変化する前に打たれた。「どこに投げていいか分からなくなった」。同点で迎えた3回裏は高めを見逃され、外角の直球を狙われ勝ち越しを許した。

 1年夏から下手投げに転向した。石田憲監督から下半身が強い山岸に対して「下手投げに転向してみないか」と打診された。山岸も「上から投げても普通の投手だから」と快諾した。

 右脇腹痛は山岸にとって宿命だった。インステップ気味で下から投げる投球フォームは右脇腹を酷使する。1年夏に1度故障して以降、何度も故障。3年春の県大会中には、痛みを押して投げてさらに悪化させてしまった。接骨院では骨膜炎と診断され毎日通院。電気を流し、超音波を当てマッサージを繰り返し本番にそなえた。

 最後までマウンドは誰にも譲らなかった。初戦は8安打を浴びながら3失点完投。2試合連続で投げきった。「完投出来る状態じゃない中、本当によく2試合も完投できた」。力を出し切ったサブマリンの顔に涙はなかった。