<高校野球青森大会:野辺地西10-7八戸工大一>◇20日◇4回戦

 野辺地西が昨夏甲子園代表の八戸工大一を破り、2年ぶりのベスト8進出を決めた。一昨年は優勝候補の光星学院を準々決勝で破る金星。今年は春準優勝の三沢に続き前年度優勝校を破り、大物食いの本領を発揮した。

 勝利の瞬間、野辺地西の選手が抱き合い、歓声を上げた。打線はつながりがよく9安打で10得点。4番赤沼拓朗右翼手(3年)が6回裏2死満塁で右中間三塁打、8回裏にも右前適時打を放つなど、4打数3安打4打点で4番の責任を果たした。

 赤沼は「緊張した。リードしても、そんな気がしない。必死に単打を狙った」と言い、前年優勝校の重圧を明かした。昨年は3回戦で八戸工大一に1-3で敗れており、その雪辱もかけていた。佐藤裕次監督(24)は「いいところでタイムリーが出て、波に乗ることができた」と振り返った。

 野辺地西の名を一躍有名にしたのは一昨年夏の準々決勝だ。下沖勇樹投手(現ソフトバンク)を擁しその年のセンバツに出場した光星学院を、高橋元気投手の好投で延長11回の死闘の末、3-2で破った。同じ学校法人光星学院の、いわば兄弟校の春夏連続の夢を絶ち切り、勝負の厳しさを示した。

 「あの時に比べると、飛び抜けた選手はいないが、組織力では上」と佐藤監督。98年、仙台(宮城)を夏の甲子園に導いた鈴木直勝監督が病気療養中のため、監督代行(大会は監督で登録)だが、若き指導者のもと快進撃を続ける。「今日の勝利でまた勢いがつく。成長した選手たちの戦いが楽しみ」。野辺地西が不気味に浮上してきた。【北村宏平】