甲子園へリスタート!

 前日に3年ぶり35度目の優勝を決めた南北海道代表の北海は25日、学校グラウンドで早速、練習を行った。準決勝の苫小牧中央戦で8回完投した背番号12の西村拓真投手(2年)に全国高校野球選手権(8月6日開幕)で先発の可能性が浮上。エース玉熊将一(2年)との2枚看板で日本一を目指す連戦に備える。

 優勝から一夜明け、平川敦監督は春から夏にかけて一番成長した選手の筆頭に西村を挙げた。「本番では玉熊は名前でアドバンテージがありますが、(玉熊と西村の)どちらを使うかは向こうの状況を見て決めます」と、背番号12を起用する可能性があることを明言した。西村は「春はアルプスから玉熊の活躍を見ていました。自分もあそこで1試合、最後まで投げたい」と目を輝かせた。

 今春のセンバツ甲子園は登録18人から外れたが、同行メンバー入りした。同監督がこの夏のことを考慮して、春先から準備を始めていた。指揮官も「西村は練習試合を含め全部、結果を出した。後は自分に度胸があるかどうかだけでした」と、準決勝の苫小牧中央戦で、南北海道大会初先発させた。それに西村はしっかりと応えた。被安打3の完封。同監督は「100%以上の力を出した」と最大限の賛辞を送った。172センチから最速142キロ直球が武器。カーブ、スライダーでカウントを取れるようになったのも大きかった。

 この日の練習では、成長した西村と頼りの玉熊に、監督は優勝の“ご褒美”を贈った。「西村は1試合、玉熊も2試合だけ、疲れもないでしょう」と約1時間のアメリカンノック。投手陣6人が受けたが、2人は特に走らされた。「7本走って2本しか取れない。吐きそうになりました」と西村。初めての体験に何度もグラウンドで大の字になった。札幌で体を追い込んで暑い甲子園での連戦に備えるため、このノックは1週間続く予定だ。

 玉木昂太捕手(3年)は「負けん気の強さはチーム一」と評する。西村はへとへとの顔で「走っていたら楽しくなりました。まだまだ平気」と、頼もしい右腕が誕生した。【中尾猛】