<高校野球福島大会:聖光学院5-0いわき光洋>◇26日◇準決勝

 福島は、聖光学院がいわき光洋に完勝し、大会史上初の5連覇に王手をかけた。プロ注目右腕の歳内宏明(3年)が2安打15三振で、県内公式戦60連勝に花を添えた。

 昨夏甲子園8強の最速145キロ右腕が、面目躍如の投球で頂点に「M1」とした。「状態は良くなかった」と言いながら尻上がりに調子を上げ、得点圏に走者を背負うとギアチェンジ。7回裏2死三塁では、いわき光洋の8番木下を公式戦最速の143キロの直球で三振に仕留め、8回を除く8イニングで計15三振。終わってみれば、初回の先頭と8回1死から許した2安打だけの、圧巻の内容だった。

 課題を持って、試合でつぶしていく。24日の準々決勝・白河戦では10安打を浴びたが、当時は上ずっていた球を中1日で修正。調子に応じて腕の振りに強弱をつけるなど変化も加え、この日は2安打に激減した。四死球は0から6に増えたものの「常に(ストライクゾーン)ギリギリを突いた結果なので」と、紙一重の攻防で高みを求めていた。

 新球も効果的だった。「生命線」と話す魔球スプリットに加え、スライダーを配球に2割ほど組み込んだ。全身の力を使う直球とスプリットに対し「スライダーは、いい意味で力を抜くことができる。織り交ぜることでスタミナの消耗を防げる」と歳内。阪神など4球団のスカウトが目を光らせる前で、抱える走者の有無によって力も加減する“大人の投球”を披露した。

 これでチームは、節目の県内公式戦60連勝を達成。福島第1原発事故の影響で「春の大会をやっていない落とし穴があると思っていた」と斎藤監督は一抹の不安を覚えていたが、歳内だけでなく打線も安定。盤石の戦いぶりで初の5連覇に王手をかけた。【木下淳】