<アジアAAA選手権:日本6-1韓国>◇1日◇決勝◇横浜

 高校日本代表が韓国を下し、05年以来3大会ぶり4度目の優勝を決めた。今秋ドラフト1位候補の3番高橋周平内野手(東海大甲府3年)が、3回に右中間へ先制2ランを放つなど3安打4打点。今大会通算でも20打数10安打13打点の成績で最優秀選手(MVP)となり、プロの評価をさらに上げた。

 胸に金メダル、手には3つのクリスタルトロフィー。多くの勲章を得て、高橋が高校でのプレーを終えた。チームの優勝に加えMVPと最多打点を獲得、ベストナインにあたる大会オールスターにも遊撃手で選出。甲子園は出られなかったが「高校野球も悔いなく終われる」と笑顔を見せた。

 アジア一を決める決戦で、今年の高校生野手NO・1の実力を見せつけた。3回表2死二塁、「今までにない感触」と高校通算71号を右中間最深部へ打ち込み、相手に強烈なダメージを与えた。代表招集後、体の近くで捉えようと木製バット対応に試行錯誤。通常練習のほかに毎晩、主将の畔上とともに横浜市内の東芝練習場でスイングを繰り返した。「木製は面白い。考えないと打てない」。その答えの1つが本塁打の場面。バットを指2本分短く持ち、相手横手右腕の137キロ直球を呼び込んでフルスイングした。

 視察した日米の複数球団のスカウト陣もあらためて素材の良さにほれ込んだ。阪神菊地東日本統括スカウトは「このレベルの右投手なら打って当たり前だけど、また一段と評価が上がるでしょう。投手に(指名に)行かないところは高橋に行くんじゃないかな」と複数球団が競合する可能性を示した。

 メッツ大慈弥スカウトは「遠くに飛ばす天性のすばらしいものがある」と評価。ただ体の硬さと、右投げ左打ち選手の特性として投げる動きと逆のために左足の押し込みをうまく使えていないと指摘。「松井(秀)が左でキャッチボールをやるように、またイチローが毎日柔軟をやるように、自分の欠点に気付いて努力すればすごい選手になる」と大選手を引き合いに出し伸びしろにも期待した。

 試合後、高橋は「気持ちは変わっていません。野球をやるしかないので」と、夏の山梨大会終了後に宣言した“プロ1本”を再度明言。最高の形で高校野球を終えたが「まだまだ全然自信はない。謙虚な気持ちで練習していきたい」と秋を待つ。【清水智彦】

 ◆高橋周平(たかはし・しゅうへい)1994年(平6)1月18日、神奈川・藤沢市生まれ。小1で投手として野球を始める。中2夏に、湘南クラブボーイズの4番三塁で全国制覇。東海大甲府では1年春に5番、夏から4番に座り、3年春から3番。今夏山梨大会は準々決勝で敗れた。家族は両親と兄、姉。180センチ、83キロ。右投げ左打ち。