<高校野球熊本大会:九州学院5-3熊本北>◇19日◇4回戦◇藤崎台

 九学のエースは打ってもすごいぞ!

 2季連続甲子園を目指す九州学院のエース大塚尚仁投手(3年)がバットで大活躍だ。適時打2本の4打数3安打2打点。初戦で6回を無安打無失点に抑えた左腕はこの夏初失点となる3失点を喫したが、打撃で取り返した。

 初戦で7回無安打無失点の快投を演じたエースが、またまた大活躍だ。といっても、マウンドではなく今度は打席で存在感を見せた。4打数3安打2打点と大当たり。「最強の9番打者」としてチームを勝利に導いた。

 「大塚はミートがうまい。打撃には期待しているんです」と坂井宏安監督(55)もその打撃センスを高く評価。その言葉どおり、3回無死一塁から8番島田海吏外野手(2年)に犠打で送らせて1死二塁で大塚へ回した。大塚も期待に応え右翼の右へポトリと落ちる先制適時打を放って同点に追いついた。さらに右安打、8回には右中間を破る三塁打を放ちこの日2打点。軟投派左腕にてこずり上位5番までがわずか1安打に抑えられた中で、ノビノビと打ちまくって打線を引っ張った。

 逆にマウンドでは2回に1死満塁から暴投でこの夏初失点。先制を許し「いつもより球威がなかった」と本来の調子ではなく3失点。「点を取られたのはショックだったけど、打撃で返せて気持ちが切り替えられました」。調子はイマイチながらこの日は最速141キロをマーク。1年のころは130キロに届かなかった直球は下半身強化の効果でグンと球速が伸びた。

 実家は先週の豪雨で大きな被害を受けた福岡県八女市にある。「実家に電話をかけたら大丈夫でした」。幸い、家族に被害はなかったが八女出身の大塚の活躍が地元の人たちにも明るい話題になる。8強へ進出し、ここからがエースの正念場。再び甲子園のマウンドに立つまで、フル回転で投げ続ける。【前田泰子】