<高校野球栃木大会:宇都宮工2-1足利>◇23日◇4回戦◇栃木県総合公園

 早くも出番がやってきた。1回無死一、三塁のピンチ、宇都宮工・星知弥投手(3年)がマウンドへ走った。ブルペンで5球しか投げていない緊急登板も、星は攻めた。連続三振と投ゴロでピンチを脱し、ガッツポーズでベンチへ戻った。

 先発の尾島孝秋投手(3年)がいきなり連打を浴び1点を失った。小野幸宏監督(42)は「今日は1点差のゲームになる。2点以上は厳しい」と即決し、星にスイッチした。星は「焦りはなかった。準備は出来ていなかったが、気持ちで投げた。尾島が作ったピンチを抑えるのが自分の仕事なんで」。頼もしいエースの投球だった。

 21日の矢板戦では迫力満点の投球だったが、この日は打たせて取る投球スタイルに一変した。「長いイニングを投げることを意識してリラックスして投げた」。キレとコントロールで勝負した。2回以降も足利打線を1安打8奪三振と完璧に抑えた。「ペース配分を考えて投げられた」とロングリリーフの成功に満足の言葉を口にした。

 普段ブルペンで30~40球を投げ込んでからマウンドに上がる。この日は5球と準備の間もなかったが「肩を作るのは早いのでなんとかなった」と対応力も見せた。「先発でも抑えでもロングリリーフでも与えられたポジションをこなすだけ」。たくましい絶対的エースがチームを支える。【細江純平】