<高校野球大阪大会:大阪桐蔭7-2東大阪大柏原>◇26日◇準々決勝◇舞洲球場

 「高校ビッグ3」の大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(3年)は、昨夏大阪大会決勝でサヨナラ負けした東大阪大柏原から13三振を奪い、2失点完投勝ちで4強に進出した。

 藤浪の顔に浮かんだのは苦笑いだった。今夏初失点も毎回の13奪三振で圧倒した。ストレートも今夏最速151キロをマーク。それでも「調子が悪かった」と苦しんでいた。西谷浩一監督(42)は8回から沢田圭佑(3年)の救援を考えたという。それでも東大阪大柏原に勝った。

 因縁の相手との高校最後の決戦。1年前の8月1日、舞洲の一塁側ベンチ前で藤浪は悔し涙にくれた。7回途中5失点KO。最後は押し出し死球でサヨナラ負けした。衝撃から立ち直れず、寮で甲子園大会中継が始まるとテレビ画面から顔をそむけた。昨秋の近畿大会大阪府予選決勝で現チームを完封し、1度目のリベンジ。この日は「相手が柏原だと意識しないようにしていました」と言う。それでも身体は動かなかった。ストレートは荒れ、夏の新しい武器にと覚えたツーシームも対東大阪大柏原用にと今夏初めて解禁したが思うように決まらず。1球投げてあきらめた。

 だが不調を不調で終わらせない。得意球のスライダー、カウントを取れるようになったカーブ、カットボールを多投。8回からは「軸がよく絡んで自分のバランスで投げられる」と走者なしでもセットに変えた。「試合の中で修正できるし、力で押すだけでなくいろんな球種を使って勝つ投球をしている」と阪神畑山スカウト。全12球団のスカウトの前で、あらためて勝てる投手であることを証明した。

 因縁の相手に2度目の雪辱も「この大会で優勝しないと夏の借りを返したことにはなりません」と気は緩めない。あと2勝を全力で取りに行く。【堀まどか】