<高校野球奈良大会:奈良大付12-4天理>◇23日◇3回戦◇佐藤薬品スタジアム

 奈良大付-天理で前代未聞の珍プレーが起きた。

 1回2死一、二塁の天理先制機に、奈良大付の久保秀平投手(3年)が暴投。奈良大付の西辻理誠捕手(3年)が後ろにそらしたボールを追うため振り返った際に球審と衝突し、球審のボール袋から「新球」が転がり落ちた。暴投のボールはバックネット際を点々としていたため、二塁走者東原匡志外野手(3年)は迷わず本塁突入。ところが西辻捕手は「新球」を暴投のボールと勘違いし、「新球」を拾って本塁手前で東原にタッチをした。高野連関係者も「記憶にない」と話す前代未聞の出来事となったが、審判団が協議した結果、得点は認められず、2死二、三塁から試合は再開。結局、天理は無得点に終わった。

 先制機を逃した天理はシーソーゲームの末に奈良大付に敗退。橋本武徳監督(68)は「普通にあるシーンではない。インプレーだったら、2点だったかもしれない」と残念がった。春夏連続で天理が甲子園を逃すのは07年以来。「また1からです」。ベテラン監督は悔しさをかみしめながら再建を誓った。

 ◆想定外のプレーが起きた場合

 公認野球規則の9・01審判員の資格と権限の(C)で「審判員は、本規則に明確に規定されていない事項に関しては、自己の裁量に基づいて裁定を下す権能が与えられている」と明記されており、審判員の判断に委ねられる。