<高校野球大阪大会:大阪桐蔭8-6上宮太子>◇25日◇準々決勝◇舞洲

 さすがはきら星スターだ!

 大阪桐蔭は苦しみながら、逆転で突破した。1点を追う8回裏に追いついた後、森友哉捕手(3年)が決勝打。今秋ドラフト1位候補の底力を発揮し、チームを4強に進めた。

 苦境のチームを、森友が救った。上宮太子に先行されては追いつき、勝ち越してもまた逆転された準々決勝。「上宮太子には昨年の秋、0-5(実際は0-4)から逆転した。絶対に負けるわけはないと思っていた」という執念が、2年連続4強への勝ち越し打を生んだ。

 7回に逆転され、5-6で迎えた8回。先頭・水谷友生也(ゆきや)内野手(3年)の安打から追いつき、なおも1死一、三塁で森友に打席が回った。初球のスライダーをとらえた打球は、一塁手のグラブをはじいた。三塁走者が勝ち越しのホームを踏む。ここ一番で回った打席で決勝打。スター候補の宿命に、結果で応えた。

 選抜大会中は、3回戦・県岐阜商戦に出られなかったほどのケガ(右ふくらはぎ打撲)もした。その影響で、春の公式戦中も打撃は本調子には戻らなかった。体のバランスの狂いから生まれたタイミングのずれ、持ち前の選球眼を6月中かけて取り戻していった。大阪大会開幕後も、次戦の相手が右投手でも練習では左投手を打ち込んだ。左相手にはまだ不安が残っていた。この日、決勝打を打った相手は左腕の大仁寛明(2年)だった。完全復活は近づいている。

 全8試合中5試合を5点差以上で勝ちきった昨夏とは違い、今年は接戦が続く。だが「苦しんだ分は経験になるし、しなければいけない」と語れるようになった。この日も副将の久米健夫(たてお)捕手(3年)がベンチで声をからしていた。「熱中症になるんやないかと思うくらい、声を出してくれていた」。仲間の思いに、主砲はバットで応えた。

 初戦から視察を続ける巨人、西武など日米11球団がネット裏に集結していた。その前であらためて力を証明。桐光学園・松井が届かなかった甲子園への道を、森友は必ず切り開く。【堀まどか】