<高校野球神奈川大会>◇28日◇準決勝

 横浜隼人が激戦区神奈川制覇にあと1勝と迫った。桐光学園を5-1で下して初の決勝に進出。阪神のユニホーム、帽子にそっくりの「縦じま軍団」が悲願の甲子園をかけ29日、強敵桐蔭学園に挑みかかる。

 最後は得意のスライダーだった。横浜隼人の先発右腕・今岡一平(2年)が投じた1球に、柳館大雅内野手(3年)のバットが空を切り、初の決勝進出が決まった。思わずガッツポーズが出ると、ナインが猛ダッシュしてマウンドに駆け寄った。今岡は「1球で決まる試合だと思った。横浜と桐光打線を抑えたんで、自信になります」と言って胸を張った。

 143球を投げ、今大会3度目の完投勝利を挙げた。桐光学園打線に7安打されながら、1失点に抑えた。準々決勝では難敵・横浜戦にも先発、10回を投げてサヨナラ勝ちした。水谷哲也監督(44)は「今岡の力投につきます。(173センチの)小さい体で、一生懸命投げてくれた。横浜戦と合わせて300球を超えるのに、頑張ってくれた」と、小さな2年生を心からたたえた。

 横浜隼人のユニホームは白地に縦ジマ。阪神ファンを自任する水谷監督が、高校野球の聖地、甲子園を意識し、こだわりを持って作製したもの。阪神のユニホームが変わると、横浜隼人のユニホームも変わるほどだ。同監督は「まだ明日(横浜)スタジアムがあります。勝ってから、本拠地(甲子園?)へ移動します」とちゃめっけたっぷりに話した。

 もっとも、目指す野球については真剣そのものだ。「野球に関しては隼人は隼人です。元気を出すこと、全力疾走、カバリング。この3つを徹底します」。甲子園出場を決めた花巻東(岩手)の佐々木洋監督(33)は就任前、横浜隼人でコーチをしていた。水谷監督はドラフトの目玉、菊池雄星投手(3年)の「育ての親の親」でもある。

 「ぜひ向こうで会えたら」と思いを込める。次々と強敵を倒してきた「ハマトラ軍団」が29日、最もそのユニホームが似合うはずの聖地、甲子園をかけ桐蔭学園戦に臨む。