コロナ禍が続く中、MLBも17日からいよいよスプリングトレーニングだ。コロナ対策は昨年以上に強化され、選手は多くの行動を制限された中で長いシーズンを送ることになる。

例えばチームが遠征に出た場合、選手らは基本的に球場に行く以外は外出ができない。外出するには、その都度チームに届け出が必要で、許されるのは主に散歩や屋外での運動、テークアウトの食事購入などに限られる。

遠征先での面会も基本的に禁止され、親族とは許可を得れば会えるが、面会するのは屋外でと規定されている。事前の許可を得なければホテル内でチームの他のメンバーと集まることやチームメートの部屋を訪ねることも禁じられている。チームメンバーはリストバンド状の接触追跡デバイスを球団施設内、練習中、遠征時に常に着用するルールも新たに導入された。試合出場中以外はマスク着用が求められ、各球団に少なくとも1人の「マスク警察」が今季新たに配備され、着用が順守されているか取り締まられるという。

取材するメディアにとっても、今季はキャンプから厳しい環境になる。全米野球記者協会はオフの間、MLBと取材方式について話し合いをしてきた。キャンプ施設へのアクセスが制限され、会見は主にリモート。個別のインタビューは球団によっては事前申請でセッティングしてくれる場合もあるが、一切行わないという球団も多い。球場入りできるメディア関係者の人数は今季も制限を継続する球団が多いようだが、一方で、オンライン会見に参加するには、現地の球場に来ているメディアに限定するという球団もある。

それでも、米国ではワクチン接種が進み、今夏には新型コロナウイルス感染状況が落ち着くのではないかとの見通しが出ている。そうなれば、さまざまな規制も緩和されていくはずだ。複数の球団がオープン戦やレギュラーシーズンの試合を制限付きの有観客で開催することを決めており、ニューヨークでは州の許可により収容力の10%の観客動員が可能になっている。ファンは客席では前後左右と距離をとり、食事をする時以外はマスク着用が義務付けられるなど、やはり制約があるが、感染状況がさらに落ち着けば観客動員の制限はシーズン中に徐々に緩和される見込み。球場の風景が完全に元に戻るまでにはまだ時間がかかるかもしれないが、明るい兆しは見えていると思いたい。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)