エンゼルス大谷翔平投手(26)がオールスターのホームランダービーに出場するか否かが注目されている。米メディアからも出場を望む声が多い。

そこでホームランダービーについて、出場することのメリット、デメリット、今季出場しそうな選手は誰かなどをここでまとめてみた。

ホームランダービーはご存じの通り、オールスターの前日に開催する8選手による柵越え競争。球宴が開催される週は「オールスターウイークエンド」と呼ばれ、さまざまな関連行事が開催されるお祭り期間だが、ホームランダービーはこれだけでも絶大な人気を誇るイベントになっており毎年、米スポーツ専門テレビ局ESPNが生中継する。

しかも生中継だけにとどまらず、ESPNは翌日からこれを何度も再放送で流すのが通例になっている。MLBの試合が雨天中止になって放送枠が空いた時や、放送するスポーツが何もない平日昼間の時間帯に、これでもかというほど流し続け、それが次のホームランダービーが開催される1年後まで延々と続く。出場選手にとって、まず顔を売るのにうってつけだ。しかも優勝すれば100万ドル(約1億1000万円)の賞金が得られるため、約57万ドル(約6270万円)の最低年俸しかもらっていない若手には魅力となる。

選手はこれに出場することで、普段お世話になっている人に表舞台の雰囲気を味わってもらうこともできる。打撃投手は選手が自由に選べるので、少年時代から練習相手を務めてくれた父親や親族、友人でもいい。前回優勝したメッツのピート・アロンソ内野手(26)の場合は、大学時代に投手だったといういとこの男性が打撃投手を務めた。

参加するデメリットはというと、本塁打競争に出場すると打球を引っ張り過ぎる癖がついたり、打撃フォームを崩したりするという説がある点。そのため、これまでは出場を辞退する選手も多く、所属球団が懸念を示す場合もある。エンゼルスのマドン監督も「エンドレスに打つスタイルは好きではない。疲れ果てる」と話していた。一方で、19年のダービーを制したアロンソは同年、53本塁打でメジャー新人シーズン記録を塗り替え、タイトルに輝いた。

メリット、デメリットある中で、今年は誰が出場するか。大谷が出るとすれば、ライバルは誰になるのか。前回準優勝で今季ア・リーグ本塁打王争いトップに立つウラジーミル・ゲレロ内野手(22=ブルージェイズ)は14日の会見で「まだ考え中だけど、出る方向に傾いている」と話していた。ナ・リーグ本塁打トップのフェルナンド・タティス内野手(22=パドレス)は11日の米ヤフースポーツのインタビューで「打診は受けたけれどまだ決めていない。自分がどうしても出るべき存在なのか分からない」と謙遜していたが、出る可能性はありそう。前回優勝のアロンソは4月の時点で「また出たい」と口にしていた。彼らが勢ぞろいすれば、華やかなホームランショーになりそうだ。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)