エンゼルス大谷翔平投手(24)が、右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術(トミー・ジョン手術)を受けてから2週間がたった。米国を驚かせた「二刀流」の話題も落ち着き始めている一方で、メジャーではリーグ優勝決定シリーズが行われており、ポストシーズンの戦いが盛り上がりを見せている。そのハイレベルな対決の場で、トミー・ジョン手術から復活した速球右腕の力投を見た。

ドジャースの右腕ウォーカー・ビューラー投手(24)が15日(日本時間16日)、対ブルワーズとの第3戦、本拠地ドジャースタジアムでの初戦に先発。1回から、自慢の直球で押した。常時97~99マイルをマークし、最速は99・4マイル(約160キロ)。しなった肘から放られる速球にはキレと力強さがあった。

同投手は15年、ド軍からドラフト1位(全体24位)で指名された。その約2カ月後、8月5日にトミー・ジョン手術を行った。執刀医は大谷と同じ、エラトロシュ医師だった。リハビリを経て、実戦登板は翌16年の8月7日。ちょうど1年後だ。MLB公式サイトによれば、手術を行う前、同投手の直球の球速は90~96マイル。術後から3年の現在、球速が上がっていることが分かる。

大谷とビューラーは同い年。常時160キロ近い速球を投げるオーソドックスな右投手という共通点もある。術後の成功例も多い一方で、パフォーマンスが落ちる例も少なからず見られるが、この日はビューラーが100球の力投。7回4失点で負け投手となったが、最後の1球も97・2マイル(約156キロ)を計測した。

大谷は手術を決断した際「かなり高い確率で、今、またはそれ以上の状態にはなれるとは言われている」と話していた。トミー・ジョン手術後、パワーアップして帰って来ることはできる。そんな希望が感じられるビューラーの投球だった。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)