先入観は、得てして覆される。

1月下旬、エンゼルス大谷翔平投手(24)の新人王授賞式が米ニューヨークで行われた。大谷とニューヨークといえば、17年オフの波乱が記憶に新しい。メジャー移籍への交渉過程で、本命チームの1つとみられていたヤンキースが早々に脱落。その後、地元の辛口メディアから大谷が酷評された経緯がある。打者で出場した昨年5月下旬のヤンキース戦では、大ブーイングも浴びた。

こうした事象から考えて、市民の大谷に対する見方は厳しいものかと思っていたが、むしろ温かかった。実際にマンハッタンで話を聞くと、50代の男性ヤンキースファンは「ヤンキース戦では正直、活躍して欲しくないけど、二刀流の大谷の活躍は野球全体にとって、素晴らしいこと」と回答。同地で直撃取材した10人全員が、大谷を野球選手として「応援している」と話し、またヤ軍との再戦は「投手として見たい」と答えた。

今季、打者ではシーズン中に復帰できる予定だが、メジャーで登板は出来ず、二刀流の復活は20年以降となる。打者で復帰したとしても、投手としてのリハビリは続いていく。数日後の13日(同14日)にはバッテリー組とキャンプインを迎えるが、長いリハビリを地道に続けていくには忍耐力も求められる。

右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術(トミー・ジョン手術)からの復活は、二刀流選手としては前例がない。昨年の開幕後に投打で活躍したパフォーマンスが再びできるのか、懐疑的な目も向けられるかもしれない。それでも、きっと乗り越えてくれる-。エンゼルスファンだけでなく、遠く離れたニューヨーク、また日本を含めた多くの野球ファンがそう願っていることだろう。