「大谷はユニコーン」。 久々に聞いた比喩だった。12日(日本時間13日)のロイヤルズ戦前。かつて投打の二刀流に挑戦していたエンゼルスのジャレド・ウォルシュ内野手(30)に対して、米メディアから大谷翔平投手(26)に関する質問が飛んだ。

「なぜ、二刀流選手になることがこれだけ難しいのか。ショウヘイ・オオタニはただただ、特別なユニコーンなのか」

ウォルシュはこう答えた。

「彼は間違いなくユニコーンだ。おそらく、それが唯一の言い表し方だと思う」

ユニコーンといえば、額の中央に1本の角が生えた馬のような見た目だが…。3年前、カリフォルニア州ロサンゼルスの空港から帰宅する際、Uberの運転手との会話で同じようなことを聞いた。なぜ、大谷はユニコーンと言われるのか。運転手は「ユニコーンは実際の世界には存在しないもの。それくらいのこと、という意味だよ」と教えてくれた。つまり、この世に存在しないくらい、ものすごいということなのか。改めて、米国人の友人にも聞いてみた。

「アスリートを形容する時に使うなら、彼のようなプレーヤーはめったにいないということ」

100マイル(約161キロ)の直球を何度もマークし、打ってはメジャートップクラスの打球速度115マイル(約185キロ)を誇る。それは、まるでユニコーン…。この世に存在しないような、超人的な存在とは言い過ぎかもしれないが、いずれにしても大谷の特別さを表現している。

その上で、二刀流を継続する難しさを知るウォルシュは敬意を示した。「失敗を糧にして、ケガや何かあったとしても、そういうことに対してプロフェッショナルな姿勢を毎日、一貫して続けるというところが、最も尊敬する部分」。ユニコーンのような特別な存在だから、という理由だけではない。地道な努力を継続する力も、他を圧倒する由縁だ。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)