エンゼルスタジアムでファンの声や歓声を聞いていると、今季の大谷翔平投手(26)への期待の高さを身に染みて感じる。4月1日、開幕戦は本拠地で行われた。レギュラーシーズンでは19年の9月末以来、約1年半ぶりの有観客。ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保ちながら、スタジアムの外周で十数人のファンに聞いてみた。

「エンゼルスの選手で、誰を見たい?」

返ってきた答えのほとんどが、生え抜きスターの主砲トラウトと大谷だった。特に印象に残っていたのは、仲良く観戦に来た70代の夫婦で、見たい選手として大谷を挙げた。「今日、投げるんでしょ」と得意げだったが、大谷の初登板は開幕戦ではなく、4月4日だった。「彼は開幕戦では打者で打ちます」と夫婦に伝えると、「ワォ…」と顔を合わせた後に沈黙。本当に残念そうで、気の毒に感じてしまうくらいだったが、「大丈夫。それでも私たちは楽しみだよ」と、最後は笑顔を見せてくれた。

大谷人気も高いが、ナンバーワンはやはり、メジャー11年目の主砲トラウトだろう。打順で先発メンバーを伝える場内アナウンスでは毎回、最も大きな歓声が上がる。当然だ。新人王、MVP3度、オールスター8度の輝かしいキャリアがある。19年に12年の長期契約を結んでおり、エンゼルスファンにとっては地元から離れることのない、永久的な大スターでもある。

一方で、大谷はまだメジャー4年目。新人王は獲得したが、オールスターの出場経験はない。それでも、トラウトに匹敵するほどではないかと思うくらいの歓声で盛り上がりを見せる。今季のオープン戦で打率5割4分8厘、5本塁打、8打点と絶好調だったことも、期待の高さにつながっているだろう。3年前、18年の開幕直後に全米を沸かせた二刀流をまた見たい-。ファンの声と歓声の大きさが、それを物語っている。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)