英語には「old school(オールドスクール)」という言い回しがある。「古い学校」という意味ではなく、「古くさい」とか「守旧派」とか訳されることが多い。だが、今年のMLBのプレーオフでは、このやり方が見直されている。
ア・リーグの優勝決定戦が、74歳のダスティ・ベーカー監督率いるアストロズと68歳のブルース・ボウチー監督率いるレンジャーズという組み合わせになったからだ。開幕時、60歳未満の監督が22人もいただけに、老練なマネジメントが光る。
ともに監督経験は26年になる。選手としても通算242本塁打の強打者だったベーカー監督は、指揮官としてジャイアンツ-レッズ-ナショナルズ-アストロズと渡り、レギュラーシーズンで2183勝、リーグ優勝3度、ワールドシリーズを昨年初制覇した。AP通信によると「過去に言ったことがありますが、世界を見渡すと、さまざまな種類の差別があります。年齢、人種、時には性別もある。しかし、心配し過ぎるのは良いことではありません」と話している。
ボウチー監督は、選手としては通算192安打の控え捕手だったが、指導者として開花した。95年に40歳でパドレスの監督になると、2年目には初優勝。07年にジャイアンツの監督になると、10、12、14年と3度のワールドシリーズ優勝を果たした。公式戦通算2093勝で、リーグ優勝は4度で、今季からレ軍の監督に就任した。「多分、私たち年配の人々がこの状況にいることは良いことなのかもしれない。私が(就任要請の)電話を受けた理由は、一部のベテラン監督たちの成功のおかげかもしれない」と謙虚に話す。
レンジャーズのヤングGMは「オールドスクール」とみられるボウチー監督を招聘(しょうへい)したことについて「私は正反対だと思う。もし自分のやり方に固執していると、持続することはできないと思う。長いこといる古い監督たちは、進化し、オープンマインドで成長するから持続できていると思う」と柔軟な思考の持ち主だと証言する。アストロズのマウリシオ・デュボン内野手(29)は両監督の下でプレーした経験があり「おじいちゃんの周りにいるみたい。耳を引っ張ったりする」と冗談交じりに話したが、それは「気にかけてくれて、良くなってほしいと望んでいるからだ」と触れ合いを楽しんでいる。
メジャーリーグの監督は、若くてデータに精通し、GMの指示通りに動くタイプの指揮官が増えている。メッツは今季、67歳のショーウォルター監督が率いていたが、契約を1年残して退任決定。ブルワーズからのデービッド・スターン氏(38)が編成本部長として就任すると、ブ軍でコンビを組んでいたクレイグ・カウンセル監督(53)の就任がささやかれる。このようにGMとセットで動く例も少なくない。
オールドスクールはフロントでも見直されつつある。フィリーズは今季、30球団で4番目に年俸総額が多かったが、上位3球団のメッツ、ヤンキース、パドレスはプレーオフに進むことができなかった。フィリーズの編成本部長は、67歳のデーブ・ドンブロウスキー氏。45年前の1978年にホワイトソックスでフロント入りし、エクスポズ、マーリンズ、タイガースでGMを務め、レッドソックスで編成トップと務めた。金融業界など、他分野から球界入りする最近のGMとは一線を画す。ただし、ニューヨーク・タイムズ紙によると、統計や分析を行うスタッフは20人以上を抱え、経験と融合させているという。
ア・リーグ優勝決定戦の「オールドスクール監督対決」は3勝3敗となった。日本でも阪神の岡田彰布監督(65)が、長嶋茂雄監督(巨人)の64歳を抜いて、セ・リーグ史上最年長で優勝し、CSも制した。日米ともに、ベテラン監督の采配に注目したい。【斎藤直樹】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「斎藤直樹のメジャーよもやま話」)





