ジャイアンツ青木宣親が、脳振とうの後遺症に悩まされている。頭部に死球を受けたのは、8月9日カブス戦でのこと。かれこれ1カ月がたとうとするが、症状は消えないばかりか、以前よりもひどく感じることもあるという。

 NFLなどコンタクトプレーの多い競技では、以前から検討課題の1つだった脳振とうなど頭部への負傷が、ここ数年メジャーでも注目を浴びている。頭部に直接死球を受けたり、外野フェンスに激突したり、クロスプレーで頭を打ったり。実は野球選手も「脳が揺さぶられる」プレーに巻き込まれることは多い。

 一昔前までは、脳振とうの症状は「気のせい」で済まされ、「気合で治る」ものとされていた節がある。脳内に起きる異変だけに、他人はもちろん本人にも症状が認識されづらく、理解されづらい点が多い。2011年から脳振とう用の7日間故障者リストが採用された意味は大きい。

 脳振とうの後遺症に悩まされ続けて6年目を迎えるのが、ロッキーズの一塁手ジャスティン・モーノーだ。ツインズ時代の2010年に走者として滑り込んだ二塁上のクロスプレーで頭部を打撲。その年は棒に振り、2006年ア・リーグMVPに輝いた打撃は消えた。「最初はずっと車酔いしている感じだった。時間がたっても、忘れた頃に症状がぶり返す。そんな状態が際限なく続くんだ」。今年5月にもダイビング捕球で脳振とうを再発した。

 2012年に拳銃自殺した元メジャーリーガーのライアン・フリールの場合、脳振とうの後遺症が自殺の原因につながっていると遺族が主張し、今後の対策のためにと脳細胞を研究用に寄贈したそうだ。

 青木が不調を自己申告した後、ボウチー監督は「言ってくれてよかった」と話したという。この判断が、症状悪化の抑制と適切な治癒につながり、1日も早く青木のハッスルプレーが戻ってくることを祈りたい。

【佐藤直子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ベースボールの風」)