サマーキャンプが再開されたメジャーで、今季はプレーしない意向を表明する選手が相次いでいます。機構と選手会が合意した時点で、過去の病歴などからリスクの高い選手がプレーしないことは予想されていましたが、健康な状態の選手にも辞退者が続出しています。

これまでに、12年MVPのバスター・ポージー捕手(ジャイアンツ)をはじめ、同年サイ・ヤング賞のデービッド・プライス投手(ドジャース)、ライアン・ジマーマン内野手(ナショナルズ)イアン・デスモンド外野手(ロッキーズ)ニック・マーケーキス外野手(ブレーブス)らスター選手が、新型コロナウイルスに感染する可能性を懸念して辞退する意向を明かしました。ほぼ全員が「自分と家族の健康のために決断した」と理由を明かしています。

MLB機構と選手会が発表した新型コロナウイルスの検査結果によると、キャンプ開始前の検査で3748人中、計66人(選手58人、スタッフ8人=感染率1・8%)が陽性反応を示しました。この数字が多いか少ないかは別として、ここまではある程度、想定内だったかもしれません。陽性の選手はキャンプインせず、隔離・療養後、再検査で陰性が2回確認されれば合流が可能となります。

一方で、問題視されるのが、その後の検査で7401人中、17人(選手13人、スタッフ4人)の感染が確認されたことです。MLBは今季、選手、スタッフに2日に1回の検査を義務付けていますが、キャンプイン後に新たに感染したということは、その間に濃厚接触者がいた可能性もあり、クラスターが起こる危険性もはらんでいます。

開幕へ向けて調整を続けるダルビッシュは、キャンプイン後、会見で素直な思いを口にしました。「子どもも小さいですし、今も心配です。いいかげんなことをやっている人がいたら帰るつもりでした」。

カブスに限らず、各球団は入念な予防と対策を取っていますが、開幕後は遠征先への移動もあり、不安要素は消えていません。家族に病歴があったり、妊娠中の妻がいれば、警戒するのは当然のことでしょう。

今後、球界内でも感染が拡大するようなことがあれば、シーズン開始後でも辞退者が増える可能性はありそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)