日本では東京オリンピック(五輪)で金メダルを目指す侍ジャパンのメンバー24人が発表され、注目を集めています。地元開催ですし、野球は人気競技ですから当然です。

その一方で、毎回のことですが、米国で五輪の野球競技は、ほとんど認識されていません。五輪期間中、公式戦を中断するNPBに対し、MLBは通常通り開催を継続するため、現役メジャーリーガーは出場できません。過去の大会では、マイナーの若手選手が中心でしたが、それでも88年ソウル、00年シドニーで金メダルを獲得するなど、底力のあるところを証明してきました。今回もすでに米大陸予選を勝ち抜き、出場権を獲得しています。

注目度は日本に遠く及びませんが、今回の米国代表は過去最強ではないかと見られています。というのも、エンゼルスを世界一に導いた経験を持つマイク・ソーシア監督が指揮を執るだけでなく、数多くのベテラン実力者がメンバー入りしました。

投手陣では、通算107勝のエドウィン・ジャクソン投手(37)、ヤンキース時代に松井秀喜氏や田中将大(楽天)の同僚だった通算137セーブのデービッド・ロバートソン投手(36)、野手では、11年打撃2冠で通算287本塁打のマット・ケンプ外野手(36)、通算218本塁打のトッド・フレージャー内野手(35)、通算146本塁打のマット・ウィータース捕手(35)らオールスター級の大物が名前を連ねています。

各選手によってそれぞれ事情は異なるとは思いますが、彼らの多くはコロナ禍の影響もあり、FA市場が停滞した昨オフ、移籍先が決まらず、やむを得ず“浪人”していた選手です。まだ現役を引退するつもりはなく、メジャー復帰を目指している選手も多く、ソーシア監督からの招集に応じたわけです。

となると、かなり本気で東京に乗り込んで来るはずです。五輪の舞台で代表として活躍すれば、来季の現役続行につながる可能性もあります。彼らのコンディション次第ですが、普通に実力を発揮すれば、間違いなく上位まで勝ち上がって来るはずです。

日本と米国が金メダルをかけて決勝戦を戦えば、米国でも注目されるようになるかもしれません。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)