夢だった「フィールド・オブ・ドリームス」に足を踏み入れました。8月12日、映画の舞台にできたトウモロコシ畑広がる球場で、大リーグ初の公式戦が開催されました。

午後2時前、復刻ユニホームを着た両軍選手たちが姿を現しました。外野後方のトウモロコシ畑を背景にヤンキース、ホワイトソックスが順に記念撮影。それが終わると、トウモロコシ畑の中にある通路を通って映画のロケ地へ移動。そして、まるで映画さながらに、トウモロコシ畑の中から選手たちが次々に登場です。大リーガーたちが子供のように無邪気になり、思い思いに写真を撮っていました。映画でシューレス・ジョー・ジャクソンら伝説の選手たちが、フィールドにやって来た名シーンを再現するようでした。

午後6時15分の試合開始時刻が近づくと、いよいよ記念式典がスタート。リハーサルと同じように、外野のトウモロコシ畑から映画「フィールド・オブ・ドリームス」の主演俳優ケビン・コスナーが、続いて両軍選手たちが次々とフィールドに登場。コスナーは満員の観客に「Is this heaven?(ここは天国か?)」の名セリフで語り掛けました。

試合は両チーム合わせて8本塁打が飛び出す空中戦となり、最後はホワイトソックスの1番ティム・アンダーソンが逆転サヨナラ2ランを放って決着。まさに映画のようなオープニングと劇的な幕切れとなりました。

アイオワ州ダイアーズビルにあるフィールド・オブ・ドリームス博物館
アイオワ州ダイアーズビルにあるフィールド・オブ・ドリームス博物館

私は翌日、人口約4000人という小さな町のメインストリートを散歩。まるでニューヨーク州クーパースタウンの野球殿堂博物館がある通りに似ており、その一角に映画「フィールド・オブ・ドリームス」の博物館があります。外壁にブラックソックス事件で永久追放された8人の選手たちが描かれ、館内には物語の背景となった同事件や、映画の原作や脚本などを紹介。入場料5ドル(約550円)で一見の価値があります。

アイオワ州ダイアーズビルにあるフィールド・オブ・ドリームス博物館内で展示されている映画の名シーン
アイオワ州ダイアーズビルにあるフィールド・オブ・ドリームス博物館内で展示されている映画の名シーン
アイオワ州ダイアーズビルにあるフィールド・オブ・ドリームス博物館内で展示されているシューレス・ジョー・ジャクソンの資料など
アイオワ州ダイアーズビルにあるフィールド・オブ・ドリームス博物館内で展示されているシューレス・ジョー・ジャクソンの資料など

最後にもう1度、フィールド・オブ・ドリームスに足を運ぶと、遠くニューヨークなどから来たファンが試合を行っていました。私も映画のラストシーンのようにキャッチボールをして、名残惜しくはありましたが帰途に就きました。

フィールド・オブ・ドリームスの敷地内にある野球場。ここでキャッチボールを行い、帰路につく
フィールド・オブ・ドリームスの敷地内にある野球場。ここでキャッチボールを行い、帰路につく

フィールド・オブ・ドリームスの試合は大成功を収め、テレビで全米中継したFOXスポーツによると、2006年以降最多となる視聴者数590万人以上を記録。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「来年も開催する」と宣言し、来年は8月11日、カブス-レッズの対戦カードに決まりました。

エンゼルスが試合を行う可能性は2023年以降も低いかもしれませんが、ちなみに「ブラックソックス事件」が起きた1919年といえば、ちょうどベーブ・ルースが「元祖二刀流」として活躍した時代。いつの日か、大谷翔平(27)がフィールド・オブ・ドリームスの打席に立ち、トウモロコシ畑に飛び込む1発、いわゆる「コーンショット」を見たいものです。【大リーグ研究家・福島良一】

(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)