エンゼルス大谷翔平投手(27)の活躍も気になりますが、現在、米球界で最注目はカレッジワールドシリーズです。毎年6月に米中西部ネブラスカ州オマハで開催されます。私も現地に赴き、大学全米一を懸けた熱戦を見に訪れました。

カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールドでは前夜祭で開会式が行われ、花火も打ち上がって大盛り上がり(撮影・福島良一)
カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールドでは前夜祭で開会式が行われ、花火も打ち上がって大盛り上がり(撮影・福島良一)

第1回は1947年にスタート。50年から開催地はオマハとなり、全米大学野球選手権、いわゆるカレッジワールドシリーズの名称で現在に至ります。以来、米大学野球界では「オマハへ行こう!」が合言葉になり、日本高校野球の甲子園のような「聖地」となっています。

青空の下に広がる米大学野球の聖地オマハのダウンタウン風景(撮影・福島良一)
青空の下に広がる米大学野球の聖地オマハのダウンタウン風景(撮影・福島良一)

「西部への玄関口」と呼ばれるオマハは人口約48万人の地方都市。あまり大型の宿泊施設もなく、ほとんどのホテルやモーテルが満室状態。しかも、宿泊費は通常1泊50~60ドル(約6500~7800円)程度のはずが、何と200~300ドル(約2万6000~3万9000円)まで跳ね上がっていました。まるでMLBのワールドシリーズか、NFLのスーパーボウル並みの高騰ぶり。それだけでも全米注目の一大イベントであることが分かります。

カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールド(撮影・福島良一)
カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールド(撮影・福島良一)

現地に到着すると、これまた想像をはるかに超える盛り上がり。オマハ中心街の北側にあるチャールズシュワブフィールドは、2011年開場のまだ新しい球場。敷地内には何台もの大型中継車が止まり、周辺では大会期間中、ファンフェストが開催されていました。大きな特設テント内では帽子やTシャツなど、数え切れないほど多くの商品が並び、まるで大リーグのオールスターゲームかワールドシリーズのようなお祭り騒ぎ。まさに夏の甲子園のようなにぎわいでした。

6月17日の開幕に先駆けて、前日16日は朝9時から、大会に出場する8大学が順に1時間ずつの公開練習。そのあと、夕方6時から映画「フィールド・オブ・ドリームス」の上映会が行われ、夜8時半頃から開会式がスタートしました。

開会式ではまず、外野後方の大型ビジョンにメッセージが流れました。

カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールド内の特設売店。出場大学の記念Tシャツが並ぶ(撮影・福島良一)
カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールド内の特設売店。出場大学の記念Tシャツが並ぶ(撮影・福島良一)

「この国では400万人以上の子供たちが野球に親しみ、そのうち約50万人が高校野球に打ち込み、約3万5000人が大学野球で腕を磨き、約1万人が大学スポーツの最高峰ディビジョン1でプレー。その中から、たった216人がカレッジワールドシリーズに出場。すなわち、2万分の1という確率だが、その夢はオマハでかなう」

つまり、米国の野球少年にとって、まさに夢の舞台がオマハだということを強調したものでした。そして、劇的勝利の瞬間が映像で紹介される中、全米各地区の予選を勝ち抜いた各大学の選手たちが入場。とは言っても、ユニホーム姿ではなく、おそろいのシャツに短パンといった軽装。このあたりはまた、アメリカらしい自由奔放さが感じられました。

式典中にはテンションを最高に高めてくれそうな音楽が流れ、夜空には花火も打ち上がるなど、まるでオリンピックの開会式でも見ているような音と光の祭典。迫力ある素晴らしい演出に感動しました。そして翌日から、10日間にわたる、全米一を懸けた熱戦の火ぶたが切って落とされました。(つづく)【大リーグ研究家・福島良一】

カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールド正面に立つモニュメントと福島氏(撮影・福島良一)
カレッジワールドシリーズが開催されるチャールズシュワブフィールド正面に立つモニュメントと福島氏(撮影・福島良一)